【モバマス】2/2のコイントス
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7:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/03(火) 23:48:31.49 ID:vJhWZrnk0


「待ってなくてもよかったんですよ」

「あら、Pさんは私といるのが嫌?」


ぺらぺらと台本をめくる彼女の手が止まった。


「こんなに綺麗な女性といるのが嫌なんて、あるわけないですよ」

「ふふっ! 褒めてくれて嬉しいわ」


車は流れに乗って走っている。

隣の席の様子を見ることはできないが、笑っているように思えた。


「私はこの時間が好きよ。仕事の合間のプライベート、ちょっとした密会みたいで楽しいじゃない?」

「俺も、レナさんと話すの好きですよ。いじめられるのは困りますけど」

「いついじめたっていうのよ」

「おしゃれなカフェとか連れてかれるじゃないですか」

「あなたが行きたいっていってるじゃない」

「ああ、まあ……そりゃそうか」

「変な人ね」


それからもぽつりぽつりと少ないけれど話をした。

他愛もない話だったと言っておこう。


「そこの駅でいいわ」

「わかりました」


停車して扉が開かれると、車内の静けさが塗りつぶされるような喧騒を浴びた


「ありがとね、Pさん」

「またご利用ください」

「ええ、是非利用させてもらうわ」


彼女は車を降りると、ぴんっと、何かを弾いてよこした。

放物線を描いたそれを受け止めると、見慣れたコインだった。


「チップよ。受け取って」

「頂いておきます」

「それじゃ、また明日」


また明日、そう言い残して彼女は去っていった。

車内は静かにエンジン音が響いていた。




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