乙倉悠貴「夢をひらく鍵」
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4: ◆twOYNJxMJs[saga]
2017/10/06(金) 00:32:25.31 ID:h7xFOhfZ0

私がまだ3歳だったかな、家族で遊園地に行った時のことです。
当時の私は初めての遊園地でとってもはしゃいでいたって両親が言ってました。
観覧車にメリーゴーランド、どれも初めての経験でとても楽しそうだった、って!

「じーーー」

でも、そんな楽しかった遊園地も終わりの時間が来ようとしていました。
帰る前に遊園地のお土産屋さんで両親が買い物をしている中、幼かった私はあるものに目が釘付けになっていました。

「どうかしたの?」

「う、うん……」

「そういえば悠貴にも今日の思い出を買ってあげないとな」

「そうね……。くまさんとかどうかしら?」

「くまさん!」

お母さんが手に取ったのは遊園地の人気者である、くまさんのお人形。
フワフワで抱き心地も良くて、持っているだけで笑顔になってしまいます。
……でも私の指はくまさんではなく、別のものを指していました。

「こっち!」

「あら悠貴、そっちがいいの?」

「でも、こっちじゃくまさんと遊べないよ?」

私の選択が意外だったのでしょう、両親はくまさんのお人形を勧めてきましたが私は譲らず、「これがいい!」と頑なだったそうです。

「じゃあ、それにしようか」

「やったぁ!」

とても嬉しかったのでしょう、欲しいものを買ってもらえた喜びで私はその場でぴょんぴょんジャンプしていました。

「大切にするのよ?」

「うんっ!」

お母さんと約束の指切りをしたその時、

パァンッ!!!

と大きな音が店内に響きました。

「きゃっ!」

突然の轟音に驚いた私は、思わずお父さんにしがみついてしまいます。
お父さんは震える私を安心させるように抱っこすると、外に連れ出してくれました。

「大丈夫だよ悠貴、空を見てごらん」

「うん……」

空を見上げると赤、青、緑……色とりどりの光が夜空を照らしていました。

「きれい……」

「あれはね、花火って言うんだよ」

「はなびっ!」

鍵を握った手で花火に手を伸ばします。
もちろん花火に手が届くわけではありませんが、花火の光を反射して鍵が7色に輝いていました。

「わぁ……!」

「お城も見てごらん」

遊園地の中央にあるお城も、花火の光を受けてまるで夢のようにキラキラと輝いています。
輝いているのはお城だけではありません。周りを見渡すと、子供から大人までたくさんの人の笑顔がそこには溢れていました。
「また、この世界に来たいな」輝くお城を見ながら、幼い私はそう夢見ていました。

全てを思い出すことはできませんが、初めての遊園地は私にとって大切な思い出になりました。



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