モバP「そろそろいきましょうか」瑞樹「そうね」
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24: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 02:56:06.27 ID:j2st42DJ0
 その代わりに、ほぼ毎日のように瑞樹さんの家に詰めかけて、酒盛りをやるようになった。 
  
 毎朝毎朝、瑞樹さんの「死にたい」で、俺の希望はことごとく砕けた。 
  
 何回めの酒盛りだろうか。瑞樹さんの家について、違和感を覚える。 
25: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 02:56:44.99 ID:j2st42DJ0
 そこから瑞樹さんの家に行くたびに、瑞樹さんの思い出の品が続々と部屋から消えているのがわかった。 
 少しずつ、でも、確実にものがなくなっている。 
  
 「いやー、ものが少ないと掃除も楽なのよねー」 
  
26: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 02:57:22.97 ID:j2st42DJ0
 「遺される人のことも、少しは考えてくださいよ」 
  
 気持ちは声になって出ていた。 
  
 「死んだら関係なくなるのに、何言ってるのよ」 
27: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 02:58:19.28 ID:j2st42DJ0
 この日はめずらしく瑞樹さんと一回も会わない日だった。 
 ちょっと思うところがあって、俺の高校以来の友人と飲みの約束をした。 
  
 「久しぶりだな。ちょっと太ったか?」 
  
28: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 02:58:53.14 ID:j2st42DJ0
 たわいもない話から始まって、次第に酔いが回ってくると、あのことをぽろっと話してしまった。 
  
 「……担当がな、死にたがってる」 
  
 「おいおい」 
29: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 02:59:24.27 ID:j2st42DJ0
 翌朝、久々の自室での目覚めだ。 
  
 世界はまるで違うように見えた。 
  
 暗いような、煤けてるような。そういうように見えた。 
30: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 03:00:06.79 ID:j2st42DJ0
 事務所。瑞樹さんと1日ぶりに会う。 
  
 「おはよう、プロデューサーくん」 
  
 「おはようございます」 
31: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 03:00:49.66 ID:j2st42DJ0
 よくわからなかったけど、この時の瑞樹さんの笑顔は心からの笑顔だった気がする。 
  
 目に光が宿って、本当に嬉しそうに笑う瑞樹さん。 
  
 思えば俺は、この笑顔に惚れていたのかもしれない。 
32: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 03:01:31.37 ID:j2st42DJ0
 〜〜〜〜〜〜〜〜 
 約束の地にたどり着いた。 
  
 ここは事務所。一番最初に、瑞樹さんと仕事の話をした、いまはもう使われていない元会議室。 
  
33: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 03:02:00.82 ID:j2st42DJ0
 道具はすでに揃っている。あとは決行するだけだ。 
 しかし、あとは実行するだけとなった今でも、うだうだとしてしまう。 
  
  
 瑞樹「……」 
34: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 03:02:29.94 ID:j2st42DJ0
 P「あ、タバコ吸ってなかった」 
  
 瑞樹「あなたまだ続けてたの」 
  
 P「結局やめらんないまま最期まできちゃいました」 
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