48:名無しNIPPER[sage saga]
2018/10/26(金) 23:20:29.40 ID:y4qJBXx7o
   ・  ・  ・ 
  
 「「……」」 
  
  
  二人で、エレベーターが来るのを待つ。 
  私も彼も、あまりお喋りな方じゃない。 
  だから、無言。 
  無言で、チラリと横を見る……あ、寝癖。 
  
  
 「……どうか、されましたか?」 
  
  
  私の視線に気付いて、彼がこちらを見た。 
  背の高いこの人は、同じく背の高い私でも、ちょっと見上げる。 
  ……っとと、いけない、いけない。 
  
  
 「明日も、お仕事ですか?」 
  
  
  寝癖が立ってますよ、とは言わない。 
  だって、今日一日、寝癖がついてたって事でしょう? 
  お仕事は終わりなのに、最後の最後で言うのも可哀想じゃないですか。 
  
  
 「いえ、明日は休みですね」 
  
  
  まあ、珍しい。 
  貴方が、明日一日恋人を放って置くだなんて。 
  ……また、思っていることが、顔に出てしまったみたい。 
  彼が、右手を首筋にやって、何か言いたげな顔をしてる。 
  
  
 「明後日から、忙しくなりますから」 
  
  
  言われて、ふと、思いつく。 
  
  
 「フレッシュな子達を迎える前に……リフレッシュ?」 
  
  
  ――チーンッ。 
  
  
 「……」 
  
  
  エレベーターの、到着音。 
  まるで、今のダジャレが失敗だったと言ってるみたいなタイミング。 
  だから、思わず真顔でそっちを見たら、 
  
  
  
 「……っふ」 
  
  
  
  横から、空気が漏れるような、笑い声が。 
  
  
 「……」 
  
  
  スタスタとエレベーターに乗り込み、ボタンに指をかける。 
  彼は、慌ててエレベーターに乗り込んできた。 
  ムッとしたけど、今ので、スッとしました。 
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