63:名無しNIPPER[sage saga]
2018/10/28(日) 00:00:08.66 ID:Y5yjIzLeo
   ・  ・  ・ 
  
 「……」 
  
  
  346プロダクションの、玄関ホール。 
  以前はプロジェクトクローネの垂れ幕だけに染められていたが、今は違う。 
  あれは、現在進行中の、別のプロジェクトのものだろう。 
  いずれは、あそこにもシンデレラプロジェクトの、第二期のものがかかる予定だ。 
  
  
 「……」 
  
  
  346プロダクションの外観は、少し、威圧感を感じる。 
  その大きさと、大手プロダクションという肩書が、そうさせるのだろう。 
  正に、城と表現するに相応しい。 
  この城から、お姫様達――シンデレラ達は、階段を登っていく。 
  
  
  時に、手を引き。 
  時に、手を引かれ。 
  時に、見守りながら。 
  
  
  私は、それを誇りに思う。 
  
  
 「……」 
  
  
  自分自身の力で笑顔を引き出す……それが力になる。 
  笑顔の力――パワーオブスマイル。 
  私達、プロデューサーが作ったものではない。 
  
  
  アイドルの方の、本物の笑顔が魅力なのだ。 
  
  
  ……と、そう、考えている。 
  プロデューサーの仕事とは、それを引き出す手助け。 
  そのためならば、おとぎ話の様に、魔法をかける事も厭わない。 
  ……実際は、私は魔法など使えず、逆に助けられる場面も多いが。 
  
  
 「……」 
  
  
  それでも、私は――毎日が楽しい。 
  夢中になっている……夢中になれるものを探している―― 
  
  
  ――アイドルの方達を見続けているのだから。 
  
  
  働きすぎ、仕事のしすぎだと言われてしまう時もある。 
  しかし、ライフワークなのだから、仕方がない。 
  
  
  
 「プロデューサー!」 
  
  
  
  正面玄関のドアが開き、アイドルが――シンデレラの方が、入ってきた。 
  光を浴び、そして、自らもキラキラと輝くその姿を見て、 
  
  
  
 「良い、笑顔です」 
  
  
  
  笑顔で言った。 
  
  
  
 おわり 
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