139: ◆CItYBDS.l2[saga]
2017/12/29(金) 18:53:24.11 ID:NbpFE6EO0
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王国城内には、その広さを利用し
国政に関わる多くの組織が居を構えている
王国議会の全ての審議が執り行われる会議場も、かつてダンスホールとして使われていたホールを改装したものである
その広さは城内でも随一で、中央ホールにはその広さを贅沢に使い壇上が置かれ
壇上を取り囲むように議員たちの席が設けられている
この日、全ての議員席が埋まっていた
大臣の招集に基づき、王都に在する議員は馬を走らせ、遠方の議員は召喚魔法によって呼び出されたためである
ホールの二階、バルコニーの一部は解放され、多くの国民が議会の進行を眺められるように配慮されている
そのバルコニーの一角、壁で仕切られ驕奢な椅子が置かれた区画に王はいた
王国の新たな時代を見据えて、ただ黙って議会を見守っている
貴族院議長「貴族院及び、衆民院議員のみなさま、おはようございます」
貴族院議長「本日は、大臣の緊急の申し入れに基づき両院合同での緊急議会を開催いたします」
貴族院議長「事の重要性から、陛下にもご参列いただいていることを付け加えて申し上げておきます」
貴族院議長「それでは、大臣より今会議の重要議題についてご説明いただきます」
大臣が壇上に立ち、声を張り上げた
大臣「みなさま。この忙しい年の暮れに、緊急にお集まりいただき申し訳ございません」
大臣「しかしこの度、看過できぬ事態が王城内にて起きております。議会及び、行政府ともに立ち向かわなくては、この国の根幹すら及ぼしかねない事態です」
大臣「慣例にそぐわずに、陛下にご列席頂いておりますのも、その故でございます」
王「・・・」
大臣「いえ、この際はっきりと申し上げましょう。この国難の事態にあって、その中心にあるのが陛下ご自身なのでございます」
「だ、大臣は何を言っているんだ?」
「陛下自身が国難だと!?」
大臣「先日、王城内の宝物庫に賊が侵入し王家ゆかりの品々を盗難されました」
大臣「私は、行政府の庁として部下に捜査を命じ。とあるものを発見したとの報せを受けたものでございます」
大臣「こちらをご覧いただきたい」
大臣が右手を掲げる、その人差し指には赤く気高い光を放つ指輪がつけられていた
大臣「いま、我が手に収まっている指輪。これは、陛下が紛失されたとされる王家の指輪にございます」
「なぜおまえが指輪を付けている!不敬だぞ!」
「それがどう、国の緊急事態に結び付くのだ!むしろ紛失されていた指輪が見つかって喜ばしいではないか!」
議員たちからの声も、大臣は意に介さず続ける
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