33: ◆CItYBDS.l2[saga]
2017/11/08(水) 19:34:17.09 ID:1/6b/enLo
盗賊の父は、長きにわたって、その名に恥じぬ働きをしてきた
すなわち、盗人稼業に精を出してきたのである
しかし、年のためか遂には官憲によって捕まり王城地下牢獄に囚われるに至った
盗賊が、大臣のもとで粉骨砕身職務に励むのも、その父への恩赦を願っての事だった
盗賊「ご存知とは思いませなんだ」
大臣「勇者の監視役は、貴様だけではないということだ盗賊」
大臣「なに、隠す必要は無いのだ」
盗賊「・・・?」
大臣「今より、陛下に謁見し、貴様が見た勇者の顛末を語ってもらう」
盗賊「勇者の裏切りを・・・?陛下に直接ですか」
大臣「ああ、その通りだ。ただ一つ、注意してもらいたいことがあってな」
大臣「そこで、貴様の忠誠心をはからせてもらった」
盗賊「・・・何を隠して、何を伝えればよろしいですか」
大臣「ほお、察しが良くて助かる。一年間、き奴らに良い指導を受けたと見える」
大臣「よい役人になったではないか、盗賊よ」
盗賊「お褒めいただき光栄です」
大臣「言葉遣いも良い。陛下の前にも十分に出せそうだな」
大臣「話して良いのは、事の顛末だけだ。勇者が裏切った事実のみを伝えろ」
大臣「私ら・・・いや貴様らの仕事ぶりについては黙っていろ」
盗賊「わかりました。」
盗賊「ところで・・・」
一瞬、盗賊の目に殺気がやどる
大臣は、それを察しながらも意にも返さず答える
大臣「案ずるでない。もう少しなのだ、この件が片付けば必ず約束は守る」
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