男「元奴隷が居候する事になった」【安価有】
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10:名無しNIPPER[saga]
2017/11/06(月) 22:15:14.82 ID:1bqYoAB70


「助けて頂いた子のうち二人はアメリカに行く事が決まりました。
 ただ、もう一人の子はこの国への残留を強く望んでおりまして。
 それで、この国の戸籍を準備するのが少々手間取っている現状ですね」


ほぅほぅ、難儀な事ですね。

そう言いつつも手元のコーヒーを優雅に啜ってみる。


「それでですね、こちら側が戸籍を準備するまで、その子を預かって貰えないでしょうか」


飲んでいたコーヒーを盛大に噴出した。

男一人で侘しくものんびり暮らしていた生活なのに、そこに住人一人増えるのはたまったものではない。

断固反対、絶対不可。これを心情に断ろう。


「その子、いたく貴方を気に入っているんです。
 実は今日も連れてきていまして……。入っておいで」


スーツの青年が事務所の出入り口に声をかけて、少しだけ間の空いた後、おずおずと入ってきた一人の少女。

変わらずボサボサだが、変わらぬ綺麗な黒髪。華奢な肢体に少しだけ血色の良くなった顔。


あの日、船の中で自分が助けて、抱きしめた子だった。


「……迷惑だったら、断ってください」


その子は、涙を浮かべて不安そうな瞳を向けてくる。

自分の事は自分が一番よく分かる。

ノーだというのは、きっと無理だろう。
 
 


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