85:名無しNIPPER[saga]
2017/11/12(日) 23:50:49.06 ID:s+xF8aIN0
何だかんだでダラダラと過ごしていると、気づけばもう九時を回ろうとしていた。
仕事中は一秒が体感三分にも感じられるのに、朝の時間はどうして過ぎるのが早いのか。
既に出かける準備は済ませておいたので、サンディに外出するよと声をかけて事務所を後にする。
玄関を出てから対面側の敷地にある月極駐車場。
そこには先代所長から受け継いだビビットピンクのハスラーが駐車されている。
結婚適齢期を迎えた年頃として、引き継いだ当時は乗り回すのを中々に恥ずかしがったりもしたが、流石にもう慣れたものだ。
当時の所長が「可愛いからハードボイルドだな」という謎すぎる理論のもとに購入していたのを思い出す。
「可愛い車ですね」
とはこれから助手席に乗り込もうとしているサンディ談。
それが気遣いから出た言葉ならば花マルを差し上げたい。
だが、どうやら彼女は本心で告げていたらしく、この車に乗る際にウキウキしている様が目にとれた。お気に召したようで何より。
まずは銀行でお金を引き落として、それから洋服を買い、そして動物園。
良い一日になりますようにと少しだけ願いつつ、僕は車のエンジンを起動させた。
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