14:名無しNIPPER[saga]
2017/11/13(月) 18:57:23.73 ID:AW4FyFFm0
「――雷天脱兎"?」
遁走の奥義、"雷天脱兎"。真の達人は無益な勝負を好まない。
闘わずして勝つ、逃げるが勝ち。どこの格闘技でも結局いきつくところは同じである。
やり方は簡単で、足裏に内勁を溜めてジャンプの瞬間に解放させるだけ。
これだけで常人の二倍も三倍も高く跳躍することができる。
それでもってただ逃げる。背中を向けてひた走る。脱兎の如く飛び回る。これこそが"雷天脱兎"である。
「はあ……」
やはりあまりウケがよくないようだ。
ただ実際のところは少し違う。
由来について話す。
要するにFFXの雷平原みたいなもので、雷鳴渦巻くまっただ中において、
老師がタイミング良く○ボタンを押し、すべての雷をジャンプで避けきったという逸話が元になっている。
追っ手はことごとく落雷にやられその場に倒れ伏してしまったそうな。
重要なのは最後の一文であり、これは逃げ一択の技ではないのである。
勁を溜めて、大地に解放する。これは震脚という技も兼ねている。
周囲にいる人間は震脚により、全身の勁の流れを乱されあたかも落雷を受けたかのように体が麻痺してしまうのである。
つまり"雷天脱兎"は逃走術であると同時に、足止めの技でもあるのだ。
「なるほど、いわれてみると!」
有香は顎に手をおいてうーんとうなっていた。
こんなに反応してくれるなんて……! 大抵笑われるのに。優しいな。
よし、さっそくやってみよう。
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