モバP「中野有香と怪しい武術プロデューサー」
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44:名無しNIPPER[saga]
2017/11/13(月) 19:58:50.78 ID:AW4FyFFm0

「シュァアッ!!」

壷を逆さにしたように、十二匹の蛇が現れる。
幾多の軌跡が複雑怪奇に絡み合い、俺たちの勁口めがけて牙を剥く。
逃げ場はどこにも存在しない。網目のような緻密な打突だ。

あの時は二本しかなかった。しかし今は四本ある。
互いを補う四本が、二人の背を押す四本の腕が。

命の奔流を見極めろ。行くぞ、

「はいっ!!」

一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、十一、十二。

"霖天翻身"。

今ここに、看破せり!

瞠目、瞠目。
丸眼鏡の奥からでもわかる。

技を出し切った後の間抜けな表情、体中の勁を放出し、がらんどうになったお前の姿。
言わせてもらうぜ無様だな。もう大蛇はどこにもいない。脱皮して隙だらけになった"皮"だけがそこにある。

これがターン制バトルなら、お前の番はもう終わり。
攻撃の権利はこちらに移った。

俺と有香は一糸乱れぬ呼吸で互いの内勁を高め合う。
一定の周期を保ちながらエネルギーをさらに倍増させていく。

刹那、どちらが合図したでもなく鏡写しに二人の腰が落とされた
(身長差がかなりあるので俺ががんばってしゃがむ)。
二人が発した外勁のドームが巨大なひとかたまりとなって爆発的に爆発する。
廃倉庫全体を包み込み、なお留まることなく空間そのものを埋め尽くす。

その大きさに比して、しかし不幸にも標的となったのは、長身痩躯の窮蛇ただ一匹だけであった。
まことに運が悪かったというべきだろう。二匹の龍、いやアイドルとプロデューサーに同時に目を付けられてしまったのだから。

補足する。

十二と十二、二十四。

一息、二十四撃。



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