モバP「中野有香と怪しい武術プロデューサー」
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9:名無しNIPPER[saga]
2017/11/13(月) 18:47:21.33 ID:AW4FyFFm0


なんじゃい。その格好は。

「いえ、その、なんというか……」

赤を基調としたシルクに似たなめらかな生地、両サイドに入った深いスリット、頭についた団子が二つ。
紛れもないチャイナ服姿の有香がそこにはあった。

「ゆかりちゃんと法子ちゃんに話したら、これを着ていけって、カワイイからって」

かわいくはある。道着よりいい。

俺たちは再び"レッスン"すべく事務所の中庭にいた。今日は風が強い。
チャイナ服の前掛けみたいな部分が風にあおられ、ぱたぱたとはためいている。
そのたびに有香の太股がちらちらと……。俺はふいっと目を逸らした。

「それにプロデューサーさんの流派は、中国にルーツがありそうだったので」

ないよ。

完全に日本発祥で、日本で発展したエセ中国クンフーである。
実家の隣にあるみすぼらしい道場が本部で、ほかに支部があるとかも聞いたことはない。
師範もよぼよぼのおじいちゃんで、れっきとした日本人だ。

それでもお隣さんだからってことで小学一年生から高校卒業まで無理矢理に週五で通わされて
本当は吹奏楽部に入りたかったのに部活をする暇もなく兄弟子にはったおされて道場の床をなめるだけの侘びしく孤独な高校生活を……。

やめようこんなはなしは。

チャイナ服姿の有香を見て心を落ち着ける。
顔がちょっと赤い。恥じらいがあるのが最高だ。眼福眼福。

俺は手に持ったボウルを有香に差し出した。

中にはピンポン球が八つ入っていた。



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