300: ◆Bc4KZX4MNU[saga]
2021/08/29(日) 00:25:48.99 ID:lP+0NotN0
繋いだ手と手、感じる体温
しっかりと生身でお互いを感じて、しっかりと心で感じる
魂もなにもかもを文字通り全霊でかける関係
そんな慣れないロマンチスト的発想に、苦笑する京太郎
「それでも、一生に一度の関係、なんでしょうね」
「……ビコーズ、“一死に一度”じゃないですか?」
「変な理屈ですね」
「熊倉さんの影響ですかね」
クスリと笑う良子を見て、京太郎もまた笑みを浮かべた
ただ穏やかな日々
夏も終わりが近づいてきたのか、蝉の声も聞こえなくなってきていた
「これから何度も、こんな風にシーズンを過ぎていくんですよ……二人で」
「楽しみです。これからが……一年一年が」
「はい、まだまだ長いんですよ。人の生は」
死んだからこそ出会えた
そして生きているからこそ、今こうしていられる
二人でただ、生きていく
―――喜びも悲しみも苦しみも抱えて、それでも幸せを手に
「京太郎……今、ハッピーですか?」
笑顔を浮かべる愛した者に、問われる
そんな言葉に握る手の力を軽く強めて、京太郎はめ一杯の笑顔を浮かべた
手の温かみと胸の熱さを感じ、愛しき者を視界一杯に
「もちろん」
「……私も、今が最高にハッピーです」
そう言う彼女を抱きしめて、そっと唇を重ねる
少し強い風が、葉を揺らす音だけが響く
顔を離すと、京太郎は少し赤らんだ顔で、眩いばかりの笑みを浮かべる
―――ラブで、愛してます。
-カン!-
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