短編を幾つか書きたいがキャッチーなスレタイが思いつかない
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39:名無しNIPPER[saga]
2017/11/30(木) 00:38:27.82 ID:TKy05yeMO

ーー涙は枯れていた。


結局ポジティブには到底なれる気分ではなかった。


心の中に底の見えない穴がぽっかりと空いていた。


自分のアイデンティティが剥奪された時、人はルーツを探り始めるようだ。


ーーどうしてヒーローになりたかったのだろうか。


『ヒーローになりなよ!』


遠い記憶。


テレビで怪人から人を守るヒーローを見て興奮していた。
隣には幼馴染の女の子がいて、僕は彼女が好きだった。
彼女の言葉が今の僕を泣きながらこの夜道を歩かせているのだ。


何という単純でつまらない動機だろうか。
好きな女の子の言葉に触発されて、それから養成所に入って周囲の言葉に感化されてきただけ。


もちろん彼女は一切悪くない。
結局、誰に勧められようと唆されようと、自分の選択肢とそれに付随する結果は自分が責任を負わなければいけない。
しかし、責任を負うならば自分が納得する選択肢を選ぶ必要がある。


僕は本当にヒーローになりたかったのだろうか。


こう考えることは心理学でいうところの防衛機制の合理化にあたるだろうか。
そもそ心理学は人の心を分析するためのツールなのだろうが、その用語を使う人は、たいてい人の行動やらをパターンにはめてマウンティングを取ろうとしているように見えて忌々しいため、必然と心理学も嫌いになる。


僕の理由にはそもそも特別がない。
同期で一番優秀な彼は姉が怪人の犠牲になったと言っていた。
たまに見せる彼の狂気的なストイックぶりはやはりそこに起因している部分もあるように見受けられたーーそれは彼が心の何処かでは幸せでないことを意味しているのかも知れないが。



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