169: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/03/17(土) 20:34:23.12 ID:qbzPlNgx0
 白騎士「やはり、何か企んでおりましたな」 
  
 鎧の擦れる音。 
 開けたままのドアから、白い甲冑姿の男が入ってきた。 
  
 白騎士「父君にあれだけ言われておきながら、性懲りもなく奴隷と関りを持とうとなさるのですか」 
  
 王子「げ、白騎士殿……」 
  
 白騎士「平民ならまだしも、奴隷は少々いただけませんな。彼らは国の法律上、家畜と見なされているのですぞ」 
  
 王子「家畜だって? なんてひどい!」 
  
 白騎士「畜生と話す王子が、どこにあります。その袋を今すぐ戻してきなさい。大方、厨房からくすねたのでしょう」 
  
 王子「クソ」 
  
 白騎士「クソ、などと汚い言葉を使ってはなりませぬ。殿下は王族です。学のない平民や奴隷に、示しをつけなければならない身。下々の者については、我ら臣下がどうにかしますゆえ……」 
  
 王子はかぶりを振り、キッと白騎士を真正面から睨みつけた。 
  
 王子「白騎士殿も、父上と同じことを言うんだね」 
  
 王子「どいてくれ!」 
  
 白騎士「はッ」 
  
 白騎士は思わず拝跪した。 
 彼の家は先祖代々、王家に仕えた由緒正しき騎士の血族である。 
  
 どんなに間違っていようと、命令は命令。 
 自分の信念を曲げてでも、絶対に従う必要があるのだ。 
 白騎士に王子を止めることはできなかった。 
  
 王子「僕が優しくしてあげなくちゃ、誰が奴隷のみんなを救うんだよ。せめて僕だけは彼らに寄り添ってあげたい!」 
  
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