青空坂上 〜卒業するまで、しゃっぽーしようね!〜
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19:中村千歳 ◆hsUAEn/JO/Q.[saga]
2017/12/04(月) 22:50:01.28 ID:LYe2U+Pd0
放課後。
「幸ヶ谷さん、一緒に帰りましょう」
キリカが声を掛けてくる。入学式の日から続く、私たちの習慣。
私とキリカが初めて会ったのは、入学式当日。
私の名前は幸ヶ谷瑞穂。座席は左から2列目、前から4番目。五十音順で1つ前だった桐畑香織は、席順も一つ前だった。
左の列の先頭にいた青木さくらとは、3つほど離れていた。
入学式、ホームルームが終わり、放課が宣言された時。
「こーやん、一緒に帰……」
「幸ヶ谷さん……でしたか?」
近づいてくるさくらんにポジション取りで勝っていたキリカが、一歩早く私に接触してきたんだ。
「一緒に帰りましょう」
あとから聞いた話だと、キリカは私が一人でいるのを見て、友達がいないと思い込んだらしい。学級委員に立候補するくらい正義感が強い人だ。「友達がいない人がいたら、私が友達になる」とか考えてたんだって。
キリカにとっては正義。
でも、唯一の友達を取られたさくらんにとっては……どうだったんだろうな?
この次の日から、さくらんは学校に来なくなった。そしてそのまま6月に退学……。
その後のさくらんの行方を知る人は、少なくとも八高にはいない。
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