9:名無しNIPPER[saga]
2017/12/13(水) 00:39:30.69 ID:JIMQgLXWo
男「……忘れた」
女「あら、どうして?」
男「あ、いやっ!そういうわけじゃ、ないんですけど……わからないんです。あれだけ好きだったはずなのに、おかしいなあ……」
女「そうじゃないわ」
男「え?」
女「忘れた、ということは、何かを考えてきたのでしょう?」
男「……はい、きっとその理由を聞かれると思っていたので」
女「そんな手前味噌で私に告白しようとしていたの?」
男「そんなこと! ……いや、でも現に忘れてしまっていますもんね……言い訳のしようもないです」
女「違う、よく聞いて。私はあなたを責めたいなんて思っていないのよ」
男「え……?」
女「覚えてきた言葉を今すぐ思い出して、言って欲しいなんて私は思っていないわ。そんなものより大事なことがあるんじゃない?」
男「大事なこと……?」
女「よく考えなさい。今あなたは、記憶をさらって脳を活性化したい訳じゃないでしょう?」
男「……」
「――――あなたは、何がしたい?」
男「俺は、あなたに……自分の気持ちを伝えたいです!」
「そう、それでいいのです。昔のあなたの胸にあった『好き』はもういらない、あなたにはきちんと今の『好き』があるのですから」
男「はい……はい!」
「よろしい。早く顔を上げなさいな」
男「はい! 女さん! 俺はあなた――あれ?」
女友「こんにちは。女はもう行ってしまいましたよ」
男「えっ……えっ!? いつから!?」
女友「君が顔を伏せてからムーンウォークで去っていき、代わりに私が摺り足で寄ってきました。声は彼女と私でフェードイン、フェードアウトのタイミングを合わせて融合させました」
男「すげえや女さん!!」
女友「惚れ直しました?」
男「はい!」
女友「よかったです。では、私はこれで」
男「はい!あ、女さんによろしくお伝えください!」
男「……あれ?」
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