37: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:22:57.64 ID:Qezuh/qr0
  
  口を開いたのは、檻の近くにじっと座っていた狸。 
  化けていてもすごく小柄で、長い白髪のせいで目も口も見えませんでした。 
  多分、この中では長老格です。 
  
 「わしはそもそも、狸が人間風情と混ざって暮らすこと自体、好かん。 
  小日向の化け力にはそれなりに一目置いとったが、だからこそ道を外れた時には目を疑うたわい。 
  人に化けて、人の見世物になるじゃと? 狂気じゃ、狂気の沙汰じゃ」 
  
 「父上ん言う通りじゃ。化けられん上に毛も無い人間なんぞ俺ら狸に劣る存在! 食いもんは褒めてやってもよかけどな」 
  
 「左様。奴らなんぞに媚を売るのはまことおぞましき畜獣の所業よ」 
  
 「どうせ間抜けな人間どものことじゃ、そっちのぷろでゅーさー? とやらと結託し、術で誑かしとっとじゃろが!」 
  
  
  もちろん、狸にも色々います。 
  狸の数だけ思想はあります。 
  人が好きな狸もいれば、そうじゃない狸もいて。 
  
 「ちょっと、いくらなんでもそりゃ言いすぎ……」 
 「……ずいぶん気風のおよろしい弁舌をぶってくれはりましたなぁ」 
 「わ、我が朋友は、そのような……っ!」 
  
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