4: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:02:01.55 ID:Qezuh/qr0
  
  秋も深まって、朝夕にはいよいよ冷え込むようになってきました。 
  
  私達のいる事務所はいつも通りです。 
  
  私は寒いのがあんまり得意じゃないので、この季節にはついもこもこ着込んでしまいます。 
  た、狸でも寒いものは寒いんですっ。 
  人間は大好きだけど、進化の過程で毛皮をリストラしちゃったのは失敗だったんじゃないかなぁ。 
  
  けど、今朝は心がほっこり温まるようなことがありました! 
  
  
 「あ、そうだ蘭子ちゃん。今朝ね、実家から手紙が来たんだ」 
 「ほぅ……深山に頂く霊獣より、確かなる言霊が?」 
 (訳:狸のご両親! お元気なんですかっ?) 
 「うん。蘭子ちゃんのことも書いてあったよ、いつも見てますって!」 
 「わぁ……!」 
  
  熊本から送られてくるお手紙には、いつも小さな肉球のスタンプが押されています。 
  筆を執るのはお母さん。 
  内容はテレビで私達のことを見てくれていること、元気そうで安心していること、たまには顔を見せて欲しいこと……。 
  
  それから、私の誕生日についても書かれていました。 
  
  12月16日――秋が暮れて、冬が訪れる時節。そんなある冬晴れの朝に、小日向美穂はぽんぽこぽんと生まれました。 
  できれば直接お祝いしたいけれど、今年もまた無事この日を迎えられそうで嬉しい、ってお母さんは書いてくれています。 
  なんだかちょっと恥ずかしいけれど、私も嬉しいです。 
  
  
 「熊本にも、いつか帰りたいね。お仕事が落ち着いたら……ううん、お仕事ででも行きたい!」 
 「うむ。『瞳』の耀きあらば、運命(サダメ)の円環はやがて繋がろうぞ……!」 
  
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