45:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 13:00:22.73 ID:nZJI/gt30
  
  
    * 
  
  
  
  
  
 鞠莉「……ん」 
  
 左腕のしびれに、目が覚めた。 
  
 動かそうとすると、さわさわと何かに触れた。 
  
 薄茶色の髪だ。 
  
  
 鞠莉「……ことり、さん」 
  
 丸椅子に座ったことりさんは、私の腕に頬をつけてすぅすぅと寝息をたてていた。 
  
 枕元の腕時計が、午後7時を少し回っていることを告げている。 
  
 窓の外にはもう星が見え始めていた。 
  
  
 ここが自分のマンションじゃないと気がついたのは、少し経った後だった。 
  
 鞠莉「ここ、病院だわ」 
  
 あの後、私は運ばれたのだろうか。数時間気絶したままで、ことりさんが傍についてくれていて。 
  
  
 鞠莉「ん、っと……」 
  
 ことりさんを起こさないよう、慎重に腕を引き抜いて立ち上がる。 
  
 身体は問題なさそうだ。点滴もついていない。 
  
  
 鞠莉「……」 
  
 何が起きたかは、ぼんやりと覚えている。 
  
 私は、リハーサルで―――。 
  
  
 鞠莉「最低の気分」 
  
  
 少し乱暴に、病室のドアを開けた。 
  
 自然と早足になりながら、廊下を歩く。 
  
 どこに向かっているのかもわからなかった。 
  
 私はとにかく歩きたかった。 
  
 そうだ、歩かなければいけなかったのに、どうして。 
  
  
  
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