4:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 20:09:04.78 ID:WIN2YWrHo
友奈(痛そう、なんて言葉で言ってはいけないくらいにその子は傷ついていた)
友奈(それなのに……身体中ボロボロで真っ赤な血がいたるところから溢れていて、多分私よりも小さな子のはずなのに……悲鳴も泣くさえもしないで、必死にばーてっくすへと大きな武器を振るっていた)
友奈(その姿は勇気のない私が憧れた──勇者に、間違いない)
友奈(だけど、その女の子が勇者なのだとしたら、アニメの中の誰かのはずで、だけどその子は見たことのない子で──)カサリ
友奈(現実とは思えない光景に目を奪われていたのだと思う。自分が左手に何かを握りしめていたことに今更気付く。落としてしまったそれは、一冊の本)
友奈(そう、ぐんちゃんと心待ちにしていた──)
友奈「……鷲尾須美は、勇者である……!」
友奈(その可愛らしくも儚げな表紙を見て、私はようやく思い出した)
友奈(さっきこの本が届いて……一緒に入っていた手甲を私が触ってしまって、それで……それで!)
ドカッ!!
友奈(本に目線を向けていた時間は少しだけだったはずなのに、目の前の光景は目まぐるしく変わっていた。ばーてっくすが……女の子を、攻撃して……た、倒れて!?)
友奈(血が本当にひどい! 地面に流れるくらい流れるなんて! こ、このままじゃ……!?)
友奈(見ているだけの私が涙を流しそうなくらいひどい怪我なのに、女の子は、女の子は──!)
女の子「帰るんだぁ! ……守るんだーっ!!」ズシャッ!
友奈(あんな大怪我なのに、女の子は、立ち上がって……)
女の子「化け物には分からないだろ、この力!」ズバッ!
友奈(大きな武器を、必死、に……振り、回して……)
女の子「これこそが、人間様の……! 気合と! ……根性と──ッ!」グッ!
友奈(真剣な瞳と、心の底からの叫びが……女の子の凛々しい声と、重なって……)
女の子「魂ってやつよォオォォォーッ!!」
友奈(その姿があまりにも尊くて……私は、涙を流していた)
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