喜多見柚「アタシにとっての奇蹟」
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12: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:08:06.75 ID:WtWlSgcZ0


 これからどこへ行こうか。アタシはこれからどうしたらいいんだろう。クリスマスにざわめく街の中で、アタシは本当に迷子になってしまったみたいだ。楽しそうな『主役』に憧れてるだけだって、情けなくて笑っちゃうけれど。それでもやっぱりないものをねだってしまう。


 もう一度カタチだけでもクリスマスに浸かってみようと、吹けない口笛に乗せて、クリスマスソングに身体を揺らす。行き先をパーカーで隠したアタシは、前をあんまりちゃんと見ていなくて、見知らぬ男のヒトにぶつかってしまった。


「す、すみませんっ」


 慌てて謝って、先を行こうとしてもその人はなぜかどいてくれなかった。どっか痛めちゃったかなと思って顔を上げると、そのお兄サンは、スーツにシックなコートを着て、なぜか真っ赤なサンタ帽を被ってた。クリスマスに浮かれてる人はもうお腹いっぱい見てきたけれど、ひとりでこの帽子を被るのは、なかなかのあわてんぼうのサンタクロースさんだなぁなんて。


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