13: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:21:54.59 ID:3B1YHSO30
 「あ、はい。今の所は……コミュニケーションを取れていると思います」 
  
 急に話を振られ、返答する。 
  
  
14: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:23:59.21 ID:3B1YHSO30
 「全く、しっかり頼むよプロデューサー君。……それより、潰れたプロダクション、例のあの『疫病神』が所属していたらしいじゃないか」 
  
 「えっ、疫病神って……もしかして、今までも所属したプロダクションを全て潰してきたっていう、あの娘か?」 
  
 参加者達はまた身も蓋もない噂話に戻っている。 
15: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:25:33.73 ID:3B1YHSO30
  
 本当にこの娘は俺を信頼してくれているのか? 
  
  
 本当はこの娘も俺の本質の希薄さに気づいていないか? 
16: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:27:44.10 ID:3B1YHSO30
 会議が行われてから1,2か月経った。 
  
  
 その日は都内のテレビ局に足を運んでいた。 
  
17: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:30:12.27 ID:3B1YHSO30
 「ええ、どうやら撮影の時間とっくに過ぎてるのに主役の娘がドタキャンしたみたいで……」 
  
  
 スタジオを覗いてみると、ディレクターと思しき男性の怒号と何処かへと電話を掛けるスタッフ達、そしてその端に少女が一人申し訳なさそうに俯いている。 
  
18: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:32:09.65 ID:3B1YHSO30
 バーター。 
  
 この業界では別に珍しい話ではない。 
  
 それにバーター出演から人気を獲得して一気に駆け上がる者もいる。 
19: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:34:52.02 ID:3B1YHSO30
  
 「……まぁあの娘の場合はちょっと仕方ない所もあるんですけどね」 
  
  
 スタッフは若干口の端を吊り上がらせながら言った。 
20: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:37:14.36 ID:3B1YHSO30
 そこで話を遮るように、ディレクターの怒声が響く。 
  
  
 「おい!スタッフ!」 
  
21: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:39:20.33 ID:3B1YHSO30
 「……白菊、さん」 
  
  
 先日プロダクションが潰れた時の会議で聞いた名だった。 
  
22: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:41:38.80 ID:3B1YHSO30
 その後2,3用事を済ませ、事務所への帰路に就く。 
  
  
  
 その途中、公園の前を通る時の事だった。 
23: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:44:09.77 ID:3B1YHSO30
 「どうしたの?」 
  
 この時声を掛けた理由は、特にない。 
  
  
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