ボク/ワタシが如何にして時間の夢を美穂さんと見るのか
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44:名無しNIPPER[sage]
2017/12/31(日) 20:49:52.07 ID:cO+HlQy0o


    エピローグ─十四歳─


「あ、あのっ、プロデューサーさん。もしよかったら……その、今日はお昼ご飯を一緒に食べませんか?」

 なんて経緯があり美穂さんとプロデューサーさんが二人きりでご飯を食べに行ってしまったので(美穂さんは小包みを持っていたので、きっとお弁当を用意してきたんでしょう)ボクはひとり寂しくルームのソファーで親に用意してもらったお弁当を食べていました。
 なんてことのない日常。いつもどおりのプロジェクトルームです。

 ──今朝、目が覚めたボクが見たのは見慣れたいつもの実家の天井でした。
 今日は十一月二十六日、ボクの誕生日の翌日であり、何も変わったことのない普通の日。五年後の昨日から五年前の今日へと確かに時間を遡行していました。
 夢から覚めたらただの現実とはよく言ったもので、信じられないような状況から帰って来たというのになんだかぽっかりとした物足りなさを覚えています。
 我ながらまったく、現金なものです。

 とは言え、やっぱりこの時代のほうが当然ですけれど落ち着きます。美穂さんをプロデューサーさんに取られてしまいましたが、そこは仕方がありません。
 寂しくなんかありません。ええ、本当に。嘘じゃないです。本当ですから。
 …………いや、まあ、嘘です。本音を言いますと少しだけ寂しいです。昨日は隣で寝ていたのに。いや、昨日一緒に寝ていたのは五年後の美穂さんですけれど。
 だけど美穂さんのあの必死な様子と、プロデューサーさんと一緒にお昼を食べることになったときの笑顔を思い返すと、こちらまで自然とカワイク微笑んでしまっていたので、これで良いです。寂しさよりも喜びが勝っていますから。

「それにしても……これは」

 ボクは自分の携帯端末の待ち受け画面を見ます。ロック画面を解除したその先に待ち受けていたのは、こちらに向かって手を伸ばしながら、真っ赤に頬を染めている美穂さん。
 まったく、なんて良い仕事をするんでしょうかね未来のボクは!



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