ダイヤ「──とある寶石の誕生日。」
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10: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2018/01/01(月) 00:06:31.06 ID:g5XV3B8Y0


ルビィ「お姉ちゃんは、いっつもキラキラ眩しくって、ずっとルビィの憧れだったもん。ルビィはそんなお姉ちゃんの背中を追いかけてきたから、ここまで頑張ってこれたんだもん。」

ダイヤ「で、ですが……それはそのような振る舞いを求められて……いえ、黒澤の娘として、正しく振舞っていただけで」

ルビィ「それもお姉ちゃんだよ」

ダイヤ「……」

ルビィ「お姉ちゃんが自分でそうした方がいいって思ったから、そう出来たんだよ。きっとルビィが最初からそうしなさいって言われたら、投げ出しちゃうもん。」

ダイヤ「で、でも……わたくしはダイヤ……無色透明で、他の人の光があって初めて輝く──」

ルビィ「それは『ダイヤモンド』でしょ?」

ダイヤ「……え」

ルビィ「お姉ちゃんはダイヤモンドじゃなくて──ダイヤお姉ちゃんだよ。ルビィのたった一人のお姉ちゃん。」


わたくしはその思わず言葉にハッとなる。


ルビィ「お父さんとか、お母さんはそういう願いを込めた……のかもしれないけど、お姉ちゃんはダイヤモンドじゃなくてお姉ちゃんだもん。」

ダイヤ「ルビィ……」

ルビィ「お姉ちゃんがどう思ってるかはわからないけど……ルビィの目にはお姉ちゃんはずっとキラキラ眩しく光って見えてた。そんなお姉ちゃんに憧れてずっと、歩いてきた。」

ダイヤ「…………」

ルビィ「ルビィね、そうやって憧れて頑張って、お姉ちゃんと一緒に輝けるAqoursって場所に来られてすごく嬉しいって思ってた。」


ルビィがわたくしの手を取った。


ルビィ「でも、もしお姉ちゃんの中で、まだその輝きが見えてないなら……一緒に探そう──ラブライブで、決勝の舞台で。」

ダイヤ「──わたくしは輝いていいのでしょうか……」

ルビィ「当たり前だよ!」


間髪入れずに断言するルビィの言葉にわたくしは目を見開いた。


ルビィ「だから、皆で── 一緒に輝こう、お姉ちゃん」

ダイヤ「ルビィ……ええ……」


──気付いたら一周りも二周りも頼もしくなった、妹の手を取って──わたくしは噫、自分はなんて詰まらないことで頭を悩ませていたのだろうと、そのようなことを思いました。


ダイヤ「ええ……! 皆で……輝きを見つけましょう……!」


1月1日──わたくし、黒澤ダイヤの誕生日──例年通り、妹にお祝いの言葉を貰った以外は誕生日らしいことはほとんどありません。

黒澤の家の長子に生まれ育った身の上故、これまでも、そしてきっとこれからもそうでしょう。

ですが、ラブライブ決勝と言う夢の大舞台に立つこの年の初めに、半生を振り返り、自分の輝きを探す決意を今ここで改めて出来たこと──

ただ、誰かの輝きを照り返して、眩く見える存在なだけではなく、自分一人でも光輝けるように、わたくしは妹の言葉を胸に、最後の戦いに向けて、決意を新たに致しました。





<終>


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