ダイヤ「──とある寶石の誕生日。」
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5: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2017/12/31(日) 23:52:55.89 ID:B61C/0ev0


果南「ダイヤさ……昔はすごく引っ込み思案だったでしょ」

ダイヤ「……昔のことは余り覚えていませんの」


すっとぼけて見せましたが、


果南「……ある日、突然……ってほどでもないけど──」


果南さんは無視して話を続けます。


果南「──今思い返してみると、ダイヤが変わったのって鞠莉がこっちに来てからだったかなぁって思ってさ。」

ダイヤ「……何が言いのたいのですか?」

果南「ダイヤは……鞠莉に自分の居場所が奪われる──とか、思ってたのかなって」


わたくしはその言葉に顔を顰める。


ダイヤ「自分のことを、わたくしの居場所だと豪語するとは、随分傲慢ですわね?」

果南「あはは、そうかも」


果南さんはわたくしの皮肉を笑って流す。


果南「鞠莉さ、外国育ちのせいなのかな? 昔っから気が強くって、絶対に自分の意見曲げなかったじゃん」

ダイヤ「……」

果南「まるで今のダイヤみたいに頑固でさ」

ダイヤ「そっくりそのままお返ししますわ」

果南「……だね。私もダイヤも、鞠莉が来て良くも悪くも、変わったんだと思う。」


果南さんが部屋の天井を仰ぎながら、思い返すように続ける。


果南「ダイヤ、昔は臆病で何も言い出せない子だったのにね」

ダイヤ「……。……鞠莉さんを見ていて、このようなに振舞っていいんだ、と。確かに思いましたわ。」

果南「お、喋る気になった?」

ダイヤ「茶化すなら、やめますわよ?」

果南「ごめんごめん、続けて」

ダイヤ「……はぁ」


なんだか、果南さんと二人で堅苦しい話というのも調子狂いますわね。


ダイヤ「同時に……鞠莉さんがいると、自分はなんて儚い存在なんだと、思ったことがあります。」

果南「……」

ダイヤ「いつも、何時でも、自分があって、自分のしたいこと、やりたいこと、こうありたいと言うビジョンや、未来……そういうものを常に明確に持っていて」


わたくしは言いながら、視線をゆっくり落とす。


ダイヤ「まるでそこにいるだけで自分と言う存在を主張している、彼女が──確かに少しだけ……少しだけですが、怖かった。」

果南「……うん」

ダイヤ「言われるがままに、期待されるままに、皆が望むままに振舞って生きてきた──いえ、これからもそう生きていく、わたくしの全てを否定されているのではないかと」

果南「……」

ダイヤ「鞠莉さんを見て……本当のわたくしは何処にいるのか──と」



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