7: ◆u71RyimI2MeR[sage saga]
2018/01/04(木) 22:56:17.08 ID:FQ763ukmo
「社務所ならあちらですよ?」
拝殿は流石に分かると思ったので社務所の方を示してみましたがそうではなかったようです。やんわりと否定した後、背広のポケットを手探りでまさぐり、なにか名刺ほどの大きさの紙を取り出したと思ったらそれを私に差し出して、
「んっと、そうですね……その、アイドルに興味はありませんか?」
そう、告げられました。
「……え?」
突然聞かれたわけの分からない質問に反応が遅れてしまいます。なんでここでアイドルが出てくるのでしょうか、と差し出されたものを見るとプロデューサーという肩書きが目に飛び込んできました。そんな私のことが分かったのか、
「アイドルになってみませんか?」
と、魔法のような、呪文のような言葉が放たれました。時間が止まったように感じられて、予想だにしていなかった言葉に押し潰されるように息が出来なくなります。さっきまで聞こえていた風の音や人がまばらに歩いたことで生まれる砂利を踏む音が私の世界から消えさります。なにも言えなくなり、ゆっくりと目の前の男性に顔を向けると「どうでしょうか」と尋ねられました。
その言葉で魔法が解けたかのように風景に色が戻りました。震えそうになる、名刺を受け取った手をじっと見つめながら口を開きます。
「あ、あの……まっ、まだ考えさせてくだひゃいっ」
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