23: ◆5AkoLefT7E[saga]
2018/01/12(金) 23:54:24.28 ID:rvz5aNSu0
「これは……ちょっと……」
「そ、そんなにか……」
「あっ」
「えっ?」
「……0点! なんてね」
「うわ、すげえ悔しいな……」
「ふふっ、今度、教えてあげるよ」
パシャッ!
「ふえ!?」
いきなりのシャッター音と、したり顔のプロデューサーさん、そしてカメラさん。
もしかして……ああ、どうやら、私は”策”とやらにまんまとハマってしまったみたいだ。
「流石プロデューサーさんさん、こういうのは慣れているんですね」
カメラさんがプロデューサーさんに声をかける。
「でも、『俺がアクセサリーを渡したら、多少は表情が崩れるはず』って言った割に、一度しかめっ面になっていたような……」
「そ、そういうこと言わなくていいから!」
あれ?
ということは、プロデューサーさんはもしかして……
「も、もしかして、渡された瞬間に私が喜んで笑うと思ったの!? この完成度で!?」
「お、おい! それでも懸命にだなあ!」
「プロデューサーさんって案外……」
「あ、案外……?」
「お茶目……?」
「いいだろ、結果的には成功なんだから! ちょっと今の写真、見せてください!」
そう言いながら無理やり会話を打ち切ったプロデューサーさんは、カメラさんの手元に目をやる。
私も覗き込んで……
「ほら、いいじゃないか」
「……これ、私なんだ」
「多分、これくらいの表情ならよくしてるんだと思う。その時に写真を撮られたり、鏡を見たりすることがないから気が付けないだけで」
「プロデューサーさん」
「ん?」
「……私、笑えてたんだ」
「ああ、次はもっと笑えるよ」
「うん……うん! 次は自分で……」
「……期待してる」
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