48: ◆5AkoLefT7E[saga]
2018/01/13(土) 00:13:52.34 ID:TDi1TcfI0
「これ、どれくらい賞があるの?」
「知らん」
「知ら……ええ……?」
「はは、ごめんな、あんまり興味なくて」
まぁ、そっちの方がプロデューサーさんっぽい……かな?
『続きまして、新人賞の発表です』
「お、新人賞なんてあるのか!狙えるんじゃないのか?」
そう言いながら、プロデューサーさんは笑っている。
「無理だと思うけど……」
「いやいや、この前の合同ライブも結構評判がよかったって話題だし、真面目にあり得ると思うんだが」
「そ、そうなの……?」
「もちろん。俺が嘘ついたことなんてあったか?」
「……」
「いやいやいや、ここで黙るなよおい」
「ないとは思うけど……でも嘘ついてもおかしくないし……」
「ま、まだ信頼されてない……!?」
「い、いや、そういうわけじゃなくて……!」
『新人賞は……関裕美さんです』
「じゃあどういう意味な……」
「な、なんというか、信頼はしてるけ……」
「……ん?」
「……あれ?」
「……」
「……」
『関裕美さん、ご登壇とご挨拶をお願いいたします』
「……」
「……」
「「えええ!?!?!?」」
え? ええ!?
わ、私が!? えええ!?
「ぷ、ぷろでゅーさー!」
「いやぁ、やったじゃないか! ほらほら、挨拶行ってこい!」
「そ、そんないきなり!? む、無理だよ……!!!」
「わかった、じゃあアドバイスをひとつ」
「な、なに!?」
「いいか、”言いたいこと”を言ってこい。それだけだ。大丈夫、裕美ならできる」
「……う、うん」
そのまま、プロデューサーさんは私の背中をぽんっと押してくれた。
不思議だ。なんだか本当に力が湧いてくる気がするんだから。
一歩、また一歩と、舞台を目指して歩いていく。
そうすると確かに、伝えたい言葉が、伝えたい相手が次々と浮かんでくる。
舞台に立ち、マイクを前にして、まずは一礼。
さて、何から話そうかな。
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