62:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 22:41:52.87 ID:QxgIwWOp0
  
 「いいか、森久保。俺は誰にでもこういうことを言うわけじゃないんだ。 
  森久保も輝子も、アイドルになれると思ったから俺はスカウトしたし、今もプロデュースしているんだ。 
  それに森久保は新人アイドルとしては異例なほど知名度があるじゃないか」 
   
  私は、例の森久保によってか、 
  新人の中ではそこそこ名の売れた、いわゆる期待のアイドルという立場になっていました。 
  
 「だから森久保。すぐに嫌だと首を振らず、少しだけ頑張ってみないか?」 
   
  プロデューサーさんは、私の目を覗き込みました。真っすぐな瞳でした。他の色は見えません。 
  私は途方にくれました。プロデューサーさんも間違いなく、私に期待をしていました。 
  
  色の見えないその期待が、他の人たちが私に抱く期待と、 
  どのように違うものなのか、私には相変わらず見抜けませんが、 
  お気づきのとおり、私にはこの期待を振り払うだけの強さはありません。 
  
 「そこまでいうのなら……。森久保少しだけやってみますけど……」 
  
  私にはそう答えるしかありませんでした。 
  
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