モバP「アイドルにサスペンスドラマの犯人役のオファーだって!?」
1- 20
106: ◆P4gW9oKees
2018/02/25(日) 21:59:37.26 ID:jwLgawr10

「さあ、どうぞ。こちらの部屋です」

「ここ、ですか?」

案内された部屋の扉は、スタジオのようには見えなかった。
倉庫のような鉄の扉に「臨時撮影室」と張り紙が貼ってあるだけ。
これには、流石に怪しいと思ったけれど、ここまで来てしまった手前、断るわけにも行かなかった。
第一、本当に臨時で使っているという可能性もある。

「すぐにカメラマンも来ますんで、中に入って待ちましょう。さぁ」

私はスタッフさんに促され、ドアノブに手をかける。
手袋越しに冷たさが伝わったが、恐らく私が感じた寒気はそれだけではなかった。


「失礼します」

と、クセで声をかけたが、中は真っ暗で何も見えなかった。
後ろからアーニャちゃん入って来るのが、足音でわかった。

ギィィ、バタン。という音のあとに小さく、カチャンという音も聞こえた。
それは恐らく、部屋の鍵がかけられた音。

私が、その音に疑問を感じるのと同時に、部屋の明かりがパッと点いた。
しかし、明るくなった部屋を見て、私はさらに困惑することになる。

「えっ?」

部屋の中は、外観のイメージ通り倉庫そのもので、とても撮影ができそうな状態ではなかった。

あのっと私が言おうとする前に、私の腕が後ろから掴まれた。

「きゃっ!」

私はわけがわからず、気づいた時には私の両腕は背中で何か紐のようなもので縛られてしまっていた。

「おら!お前はそっちで座ってな!」

そして私はそのまま突き飛ばされ、床に倒れてしまった。

「ミナミ!」

どうやら倒れた時にどこかに頭をぶつけたらしく、一瞬意識が朦朧とする。

「きゃあ!」

アーニャちゃんの悲鳴で、少しずつ意識がはっきりしてきた。

「アーニャちゃんっ!?」

悲鳴が聞こえた方を見ると、アーニャちゃんは床に押し倒され、その上にはさっき私たちをこの部屋に案内したスタッフさんが乗っていた。

それを見た瞬間に、私は全てを理解した。
あのスタッフさんは私たちを騙してこの部屋へ連れてきた。
最初から私たちを襲うつもりで。
だからこんな遠くの部屋へ案内したのだ、と。

アーニャちゃんは今、スタッフに上から抑えつけられ、抵抗できないまま、そいつに胸を揉まれてる状態だった。

「アーニャちゃん!誰か!誰か助けて!」

私は部屋の外まで届くよう、力の限り叫んだ。
しかし

「美波ちゃん、いくら叫んでもムダだよ。この部屋はね、最初は音響スタジオとして使っていたから、防音はバッチリなんだ」

「そんな……」

それなら、私が助けるしかない。
女性の私が、どこまであの男に抵抗できるかわからないけれど、少なくともアーニャちゃんが逃げる時間くらい作れるはずだ。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
130Res/73.50 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice