【モバマス】琥珀色のモラトリアム
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11:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/03(土) 00:23:59.68 ID:vBuyWfgt0
時計の針が3時半を回る頃、ボクは筆箱と古典の問題集を鞄へと仕舞い、未だ机に向かう生徒達を背に教室を後にした。スマートフォンのカレンダーには「16:30 インタビュー」と無機質なフォントで記されている。
ネックウォーマーに口許を埋めながら、雪解けで黒く濡れるアスファルトを進む。なんとなく駅前の自販機が目に付いて、ブラックの小さな缶珈琲のボタンを押した。凍える手には過ぎた熱さのそれを口に含むと、苦味と共に妙な違和感を覚えた。

「……やはり、プロデューサーの淹れた珈琲の方が好いな」

彼の淹れるカフェ・オ・レは、安らかなひと時を約束してくれる。……そういえば、最近はあまり席を共にする機会が無かった。そんな寂寥のような何かを白い息と共に吐いてから、空になった缶をゴミ箱へ放り込み、再び電車に揺られて事務所へと帰る。


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