227:亜人好き ◆HQmKQahCZs
2018/12/14(金) 11:14:00.50 ID:y8iP/2u10
 【天使は意外と速く飛ぶ】 
  
 激変二度目だ。 
  
 俺の人生が変化したのはこれで二度目。 
228:亜人好き ◆HQmKQahCZs
2018/12/14(金) 11:21:55.61 ID:y8iP/2u10
 「だ、大丈夫ですか!? 怪我はありませんか!?」 
  
 鼻の穴の中を熱いものが通り抜ける。すぐに手に熱くぬるりとしたものが付いた。 
  
 少年「ち、血が………」 
229:亜人好き ◆HQmKQahCZs
2018/12/14(金) 11:44:17.81 ID:y8iP/2u10
 目を開ける。喉が渇いている。それに気分も優れない。 
  
 誰かメイドに頼んで水を貰おう、と思ったときに気が付いた。 
  
 俺が寝ていたのはベッドじゃない。布張りのソファーだった。そもそも自分の部屋ではない。 
230:亜人好き ◆HQmKQahCZs
2018/12/14(金) 11:45:41.19 ID:y8iP/2u10
 「ちょっと! 落ち着いてくださいよっ」 
  
 少年「お、落ち着くもなにも、そっちがなんかやってきたんだろ!?」 
  
 左手で鍵を外し、窓を開ける。 
231:亜人好き ◆HQmKQahCZs
2018/12/14(金) 11:47:33.17 ID:y8iP/2u10
 今日の空は曇りだった。重苦しい色の雲で覆われた灰色の空。誰かが色を付けることに失敗したのか。このような色だと感動できない。後で美術部に苦情を言うべきだろう。太陽だって顔を見せていない。俺は太陽をじっと見つめると思わず感動して瞳が緩み涙がぽろぽろと零れるような感動屋なのだ。そんな俺がいるのに顔を見せないだなんてファンサービスが実に足りない。お天道様に顔向けできないぞそんなことじゃ。相も変わらず空は曇天でそれでも俺の夢は極彩色で、ぴかりぴかりと七色キャンバスのようなのが自慢だ。美術部に代わって空に色をつけてやらんと欲す。 
  
 少年「――――――あ」 
  
 落ちていく最中に窓で自分の姿を見る。鏡の中には落ちていく俺の姿と楽しそうにタップダンスを踊る帽子とそれに踏みつけられてカツカツと鳴き声を上げる靴の姿があった。思わずスタンディングオベーションで拍手喝采の気分だが地に足のついてない俺にはどうやら起立も着席もできないらしい。では空を飛びながら拍手とはいかなることか。いや 
232:亜人好き ◆HQmKQahCZs
2018/12/14(金) 11:49:39.63 ID:y8iP/2u10
 目を覚ます。今度はしっかりと覚えていた。 
  
 「今度は慌てないで、お話をしましょう」 
  
 俺の耳元で聞こえる声。誰かが俺の両肩に手を置いて、耳元で囁いていた。 
233:亜人好き ◆HQmKQahCZs
2018/12/14(金) 11:50:34.44 ID:y8iP/2u10
 「だけど困ったことに天才なのよ。私たち生徒会になくてはならない存在なの」 
  
 少年「………」 
  
 ローブの中の二つの黄色い光がこっちを見ている。そこから読み取れる感情はない。いったいどういう人なのか。なにもわからないその姿に思うことは怪しい、その一点のみだった。 
234:亜人好き ◆HQmKQahCZs
2018/12/14(金) 14:43:24.18 ID:y8iP/2u10
 入れてもらった紅茶を目の前にするが口にする気が起きない。あのローブの人が縛られているというのはわかっているがそれでもだ。 
  
 さっきみたいに世界が変に見えるようなことになりたくない。 
  
 そう躊躇しているとどうやら俺の気持ちを察したらしく天使の人が自分のカップと俺のカップを入れ替え一口飲んで見せた。そして微笑みかけると視線で紅茶が安全であると促した。 
235:亜人好き ◆HQmKQahCZs
2018/12/14(金) 14:49:56.78 ID:y8iP/2u10
 「セルリア、やっぱりあなたなにか盛りましたわね?」 
  
 「覚えがないヨー。でも副作用の可能性は否定できないヨー」 
  
 「別に入りたいんならいいんじゃないか? なぁ、ヤツカ」 
236:亜人好き ◆HQmKQahCZs
2018/12/14(金) 14:56:09.24 ID:y8iP/2u10
 そんなドタバタ劇が繰り広げられてようやく悪魔の人の猿轡が外された。悪魔の人は大きく息を吸うともぞもぞと動いてなんとか座りじろじろとこっちを見てきた。 
  
 「まさか本当に来るとはな。いや我の目に間違いがないことは世の常であるが」 
  
 「入れるんですか? 入れないんですか?」 
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