8:名無しNIPPER[sage]
2018/03/19(月) 17:43:11.46 ID:7Wj9+WkBO
 衣装の直しがあるのでー、と去った青羽さんの背中を見ながらそう心に誓う。 
  
 ごめんなさい、青羽さん。あとでなんか甘いもの買ってきます。 
  
 そうしていると、二人が“劇場”に入ってきた。 
9:名無しNIPPER[sage]
2018/03/19(月) 17:44:00.89 ID:7Wj9+WkBO
 「どうしたのですか、そんなにキョロキョロと落ち着きなく周りを見渡して。 ……まさか私の顔が見るに耐えないと言いたいのですか?」 
  
 空色の髪の毛の子が俺にそう言う。 
  
 「い、いや違う。……あー、その、なんだ。 こういう普通の“劇場”もたまにはいいなぁって思って」 
10:名無しNIPPER[sage]
2018/03/19(月) 17:45:21.27 ID:7Wj9+WkBO
 「プロデューサー、もしかしてあなたは馬鹿なのですか? そのようなことが現実で可能なわけないではありませんか。 ……はっ、まさか、私たちには本当のことを話すほどの価値もないということですか」 
  
 どう応えたものかと一瞬思案していると、栗色の髪の女性が助け舟を出してくれた。 
  
 「紬ちゃん、あんまりプロデューサーさんを困らせちゃいけないわよ。 今は冗談かもしれないけれども、そうなるように頑張るってことよ」 
11:名無しNIPPER[sage]
2018/03/19(月) 17:47:42.28 ID:7Wj9+WkBO
 咄嗟に栗色の髪の女性がいった、「つむぎ」という恐らく空色の髪の女の子の名前を入れたのはファインプレイだったと思う。 
  
 小鳥さんの時と同じく、普段からそう呼んでたかは疑問だが。 
  
 「つむぎちゃん」の顔は赤く染まっていた。どうやらまたいつもとは違う呼び方をしてしまったらしい。 
12:名無しNIPPER[sage]
2018/03/19(月) 17:48:25.40 ID:7Wj9+WkBO
 そう言った俺を栗色の髪の女性はジーッと見つめていた。 
  
 「……その、私のことも歌織ちゃんって呼んでもいいんですよ?」 
  
 これは分かる。いつもはそう呼んでなかったんだろう。 
13:名無しNIPPER[sage]
2018/03/19(月) 17:49:30.08 ID:7Wj9+WkBO
 何かがおかしいと感じ、青羽さんから「確認のため」と誤魔化して貰った資料を読んで、確信した。 
  
 「青羽さん」「つむぎちゃん」「かおりちゃん」といった初対面のはずなのに、ある程度親交が深まっている女性たち。 
  
 もし彼女らの名前が出てこないだけなら疑問に思わなかったかもしれない。 
14:名無しNIPPER[sage]
2018/03/19(月) 18:51:00.09 ID:3meV7wc2O
 俺のところのアイドルは5分前に仕事に出したからまだまだ終わってないよ 
15:名無しNIPPER[sage]
2018/03/19(月) 19:32:29.51 ID:7Wj9+WkBO
 それに「39」という数字も謎だ。 
  
 劇場の総アイドルは50人で、そのうち劇場デビューの37人がミリオンスターズ、そして765の事務所からデビューした13人は765オールスターズと呼んでいる。 
  
 なので、ここに当てはまるのはその50、37、もしくは13といった数字になるのだが、資料を読む限り765の事務所デビューの数は変わらず13人なのだが、劇場デビューが39人、そしてアイドルの総数は52人となっていた。 
16:名無しNIPPER[sage]
2018/03/19(月) 19:33:09.01 ID:7Wj9+WkBO
 劇場はここ一つだけで、宇宙や古代神殿などを事務所にしたことは一度たりともないという。 
  
 その他にもプラチナスターライブの連動企画としてスタートしたシーズンユニットしか存在していないなど、細かいところで記憶との差異を挙げるならキリがないほどであった。 
  
 こんな不思議なことが起きてるのに、気づいて困っているのは意外にもたった一人だけだった。 
17:名無しNIPPER[sage]
2018/03/19(月) 19:47:27.31 ID:7Wj9+WkBO
 椅子の上で、一度冷静になるために目を閉じた。 
 次に目を開くとそこには宇宙が広がっていた。 
 なんだこれは。 
 とうとう幻覚まで見えてしまうようになったのか。 
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