60:名無しNIPPER[saga]
2018/03/21(水) 01:17:34.93 ID:EAF0Yir90
  
  
 「サ…サダ…コ…?」 
  
  
 それは今にも掠れるような声の呟きだった。 
  
 先程まで意識がなかった伊熊が貞子のことを問われた途端に応じるようになった。 
  
  
 「サダコ…スマナイ…」 
  
  
 「ダガ…オマエハキケンナンダ…」 
  
  
 「ダカラワタシハオマエヲ……シカ…ナカッタ…」 
  
  
 何かを懺悔するかのように語りだす伊熊。 
  
 だがそれは独り言の呟きでその内容が何なのか右京たちにはさっぱり理解出来なかった。 
  
  
 「伊熊さん、単刀直入に要件を申し上げます。 
 僕たちは彼女の作った呪いのビデオの謎を解くためにこちらに伺いました。 
 何か心当たりはありますか?」 
  
  
 「ノロイ…ソウカ…アノコハイマデモノロイツヅケテイルノカ…」 
  
  
 呪いのビデオの謎を解く答えを伊熊から聞き出そうとする右京。 
  
 伊熊は志津子の能力を見出した学者だ。 
  
 それなら当然貞子にも力が宿っていたことを把握していたはず。 
  
 そんな彼ならビデオの呪いを解く答えを知っているはずだと思った。しかし… 
  
  
 「ムリダ…アノコノ…ノロイヲトクコトハデキナイ…」 
  
  
 「モシモノロイヲトクコトガデキルノナラ…ソレハ…ノロイヲフヤスシカナイ…」  
  
  
 「…やはりそういうことですか…」 
  
  
 伊熊が語る山村貞子の呪いの解き方。 
  
 それを知り俯いた表情で何やら察した様子を見せる右京。 
  
 どうやら答えを知り得たようだ。それも残酷な答えが… 
  
  
 「グフッ!」 
  
  
 その答えを聞いたと同時に伊熊は吐血。 
  
 この後、伊熊平八郎の容体は急変し彼は面会謝絶となってしまった。 
   
 これ以上の聞き込みは無理だと判断した二人はその場を立ち去るしかなかった。 
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