12: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/03/30(金) 08:19:01.20 ID:hRbC8D020
勇者「現に、俺は俺の価値観、倫理観、考え方のまま生きてきて、それを女神に認められた」
勇者「なれば、女神の考える人の在り方は教会のそれとは違っているということだ」
「・・・」
勇者「沈黙は、肯定ととりますよ」
「教会の在り方に疑問を感じるということであれば、これ以上の資金援助は難しいと考えざるを得ませんが・・・」
勇者「構いません。教会からの援助が無くとも、俺はやっていけるだけの資産を得ている」
勇者「それに、貰えるもんは貰う主義ではありますが、どうも教会のそれは施しのように思えて。あまり好きではなかったんです」
勇者「施しをするならともかく、されるっていうのはどうもむずがゆい」
「教会と対立することになりますよ・・・」
勇者「俺は、簒奪者には容赦はしない。魔王がそうであったように、俺から何かを奪うというなら覚悟をするべきですね」
勇者「教会に、その覚悟はありますか?」
「暴力による、ということですか?」
勇者「時と場合によっては」
勇者は、全く話の通じない男ではなかったが
その考え方は、当時の儂からしたら自己中心的で傲慢であるように思えた
勇者の考えは、社会への奉仕の心が欠けていた
この危険極まりない世界において、相互補助は自らが生き抜くために絶対必要な生存戦略
得た報酬を、全て自らのために使うという自己完結的な思想は
絶対強者であるが故の、いわば贅沢ではなかったのであろうか
平和が確立された、今の世でこそ勇者の考え方は指示され得るだろう
だが当時の状況からすれば、勇者の考え方は革新的ともいえた
私が教会側の立場にありながら、勇者の生きざまにある種の尊敬の念を抱いてしまったことを誰が非難できようか
私もまた、若く新しいものに目移りしてしまったのだ
最終的に、教会には勇者と対立するほどの度胸は無かった
何より、自らが認めた聖人を貶めることなどできるはずもない
当然の成り行きであった。
出来たことと言えば、勇者への資金援助を打ち切る程度
それが教会が行える、勇者への精いっぱいで唯一の反抗だったのじゃ
115Res/104.64 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20