30: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:54:59.66 ID:X17K8DuQ0
  
  
 ―――――― 
 ――― 
  
  
 「はいっ」 
  
  帰り途中のコンビニで約束通り肉まんを渡される。 
  忍はペットボトルのお茶だけを買ったみたいだ。 
  正当な報酬なはずなのに、なんかひとりで食べるのは後ろめたい。 
  
  半分渡そうかと考えたところで、忍が何かを大切そうに持っているのに気付いた。 
  それは、なんだか良くわからない動物が、さらにデフォルメされた小さな人形だった。 
   
 「それ……」 
  
 「あっ、これ? お茶のおまけ!」 
  
 「えへへ、なんかオトクな感じするよねっ」 
  
  なんでそんなもの、と思ったけれど、忍のはしゃぎっぷりに何も言えなくなる。 
  そのまま黙って、ほかほかの肉まんを半分押し付けた。 
  
 「えっ、いいのに……ありがと」 
  
  2割増で溢れた笑顔に、これで良かったのだとほっとする。 
  すっかり悴んだ手に、じんわりと温かさが広がっていく。 
  僕はそれを独り占めにしなかったことがなんとなく嬉しかった。 
77Res/84.74 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20