【モバマス】里美「家族写真」-SS速報VIP

【モバマス】里美「家族写真」

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1: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 21:03:09.70 ID:/Ajo4qva0
おはようございます、プロデューサーさん。

はい、里美ちゃんはこれから来るそうですよ。

それまでは私と二人っきりですね、ふふっ。

ええ、甘々になる前にコーヒーでも煎れましょうか。

ところで砂糖はお幾つ入れますか？

あら、もうご自分で用意してたんですね。じゃあ私も、っと。

ふー、ふー……あつっ……えへへ……。

え、そ、そうですねぇ、久々のオフでしたから。

ご実家に帰るとは言ってましたけど――。

……。

え？　あ、すみません。ちょっと考え事を。

もうっ、私の悩みなんて――ホントに聞きたいですか？

いえ、実は昨晩、里美ちゃんに相談を受けてしまいまして。

昨日の過ごし方がアイドルとしては不安なものだったそうです。

あー、話しましょうか？　気になってらっしゃるようですし。

でもあの緩くて甘い里美ちゃんから聞いただけの話ですからね。

細かいところまでは保証しませんよ。

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2: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 21:10:03.15 ID:/Ajo4qva0
里美ちゃんのご実家は山形の、少し山がちなところにあります。

スカウトされた時は偶々町に出ていたみたいですね。

それで、行くにもなかなか苦労するみたいで。

3: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 21:17:40.77 ID:/Ajo4qva0
それで、その二両編成の列車に暫く揺られていると、

こう、ぽつぽつと。人が減っていったそうです。

残ったのは里美ちゃんを含めてたった三人だけでした。

4: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 21:25:18.80 ID:/Ajo4qva0
すると、日がまだ高いお昼時にですが、ある山深い無人駅で

停まったきり、列車はそのまま進まなくなってしまいました。

いかに甘くても帰省はしたいですからね、運転手さんに訊くと、

5: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 21:30:03.34 ID:/Ajo4qva0
さて、その駅は当然、山中の均された土地にあったワケですが。

駅舎を出ると、そこにはいきなり急な階段がありました。

斜面を下るためのものですね。細い丸太を埋め込んだだけの

6: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 21:36:36.32 ID:/Ajo4qva0
何せ東北の、人の乗り降りの珍しいローカル線の、

それも山中ですからね。敢えて口を悪くすればド田舎ですよ。

でもこう、何と言うか、その空間は異質だと感じたそうです。

7: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 21:45:27.69 ID:/Ajo4qva0
樹皮に、そのー、何と言うか、石英か大理石みたいな

白いモノがところどころ混じっていたって言うんです。

里美ちゃんの話し方が何だか曖昧だったので確証はないですけど、

8: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 21:59:50.69 ID:/Ajo4qva0
そうして村を一周して、腕時計で確認すると四〇分経っていて。

昇るのが遅いという自覚はあったんですね、さっき降りた

階段を急いで昇って駅に戻ると、一時間経つまで残り一〇分でした。

9: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 22:08:07.13 ID:/Ajo4qva0
それで、どう思います？　プロデューサーさん。

里美ちゃんの過ごし方についてですよ。忘れてました？

――そうですよねぇ。そんな状況に置かれたら仕方ないことです。

10: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 22:15:44.75 ID:/Ajo4qva0
そうして丁寧に一件ずつ回ったのに、どの家も

扉に近付いただけで息を潜めていったそうです。

あり得ない話ではないですが、ちょっとねぇ。

11: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 22:25:29.64 ID:/Ajo4qva0
入って先ず見えたのは畳ですね。すり切れた、古い畳。

その先に、多分部屋の中央ですが、綿のはみ出た掛け布団があって。

で、その上に――里美ちゃんから聞いたまま言いますけどね。

12: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 22:30:59.29 ID:/Ajo4qva0
そのうちに夜が来てですね、まんじりともせず駅舎にいたそうです。

駅だけは線路沿いの電灯がありましたけど、眼下の村は

気付いた頃には真っ暗で、もう一歩も動けなくなっていました。

13: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 22:37:03.59 ID:/Ajo4qva0
見えざるものの驚異、と言いますか。何かを感じたんでしょう。

里美ちゃんが身を乗り出して駅舎から線路側を見ると、

山頂の方から何かが降りてくるのが見えました。

14: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 22:45:03.14 ID:/Ajo4qva0
不思議なことに、その何かは暗闇の中でも

一切の迷いなくスイスイと階段を降りていったそうです。

そんなこともあるんですねぇ、くらいの認識だったみたいですが。

15: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 22:53:21.77 ID:/Ajo4qva0
ちょ――っ、ちょっと待って下さい。

「……どうかしましたか、プロデューサーさん」

ちひろさん、この話は矢っ張りおかしい。

16: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 23:00:13.83 ID:/Ajo4qva0
「えへへ～、聞いて下さいプロデューサーさん」

里美はひどく嬉しそうな表情を貼り付け近付いてくる。

とことこ、という擬音が似合うのがどうにも危なっかしい。

17: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 23:06:03.63 ID:/Ajo4qva0
里美の、砂糖菓子のようなきれいな肌が見える。

「あの……プロデューサーさん？　どうかしましたかぁ」

そしてその肌に、目立たないながらも亀裂が見える。

18: ◆iv1d32We2.[sage saga]
2018/04/02(月) 23:10:03.61 ID:/Ajo4qva0
これがお兄様です、プロデューサーさんに似ているでしょう？

そう言って、里美の姿をした何かは笑った。

その向こうでは髪が、肌も、服さえも不自然に

19:名無しNIPPER[sage]
2018/04/03(火) 04:09:24.10 ID:Q+1WzVTrO
「ヘーイ！！」

20:名無しNIPPER[sage]
2018/04/03(火) 08:05:30.33 ID:CXbLei5aO
海外生まれのHさんっ！
海外生まれのHさんじゃないかっ！

21:名無しNIPPER[sage]
2018/04/03(火) 16:18:23.77 ID:mQlu9haPo
村ごとヘーイ！してしまうのか…恐ろしい

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