17: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:12:08.55 ID:wXMMdwi10
 「あたしさ、1番になったやん?」 
  
  
 「なったなあ」 
  
18: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:12:49.58 ID:wXMMdwi10
 「……それでね」 
  
  
 「おう」 
  
19: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:13:32.83 ID:wXMMdwi10
 それまで阿吽の呼吸で返ってきていたプロデューサーさんの相槌が、ぴたりと途絶えた。 
  
 やっぱり怒られるかも、とおそるおそる顔を上げて、あたしは思わず息を呑んだ。 
  
 怒られる、なんて暢気なものじゃない。 
20: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:14:00.08 ID:wXMMdwi10
 「なんかあったのか」 
  
  
  お腹に響くプロデューサーさんの声が、冷たくて、重たい。 
  
21: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:14:48.54 ID:wXMMdwi10
 「ほら、うちの総選挙といえばCDデビューじゃん、やっぱり。あたしの知った顔でもデビューがまだな子って大勢いるわけだし。 
  
 あたしはさ、表彰台に立たせてもらって、歌まで歌わせてもらったじゃん。だから、なんていうのかな。 
  
 その、あたしにこれ以上投票してもらっても、よくないのかな、っていうか」 
22: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:15:38.17 ID:wXMMdwi10
 ちょいちょい。 
  
 プロデューサーさんが怖い顔のままで手招きしている。 
  
  
23: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:16:06.79 ID:wXMMdwi10
 「……っ」 
  
  
 あ、これ。 
  
24: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:16:33.17 ID:wXMMdwi10
 ……でこぴん? 
  
  
 「いっ……たぁ!」 
25: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:17:40.42 ID:wXMMdwi10
 「あほたれ」 
  
  
 目を開けて見たプロデューサーさんは、もう怖い顔をしていなかった。 
  
26: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:18:24.12 ID:wXMMdwi10
 プロデューサーさんの瞳の中に、こちらを見上げているあたしがいる。 
  
 引き潮のように遠のいていく痛みとは裏腹に、白い額にうっすらと残っている痕が、なんだかおかしい。 
  
  
27: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:18:56.07 ID:wXMMdwi10
 「んー、ブースト?」 
  
  
 茶化すように答えるけれど、きっとプロデューサーさんは何もかもお見通しなんだろうな。 
  
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