78:名無しNIPPER
2018/04/20(金) 22:59:25.27 ID:oAmRbez70
◯
「ねぇお兄ちゃん、今日は一緒に帰らない」
ある日の放課後、俺が帰宅しようと昇降口に向かうと、俺の下駄箱の前に愛華がいた。
相当驚いた。愛華が俺と一緒に帰りたいなんて言うなんて、小学生以来である。
「なんかあったのか?」
何気なく尋ねると、愛華の表情がほんの少しだけ硬くなった。
「別にー? で、一緒に帰るの? 帰らないの?」
「じゃあ、一緒に帰るか」
「うん」
俺は下駄箱から靴を取り出して、履き替える。
その時、背後から視線を感じて俺は振り返る。
「ほら、お兄ちゃん早く」
愛華に服の裾を引っ張られる。そのせいで、結局視線の主を見つけることはできなかった。
まぁどうせ大したことじゃないだろう。俺は楽観的にそう思って、愛華と一緒に帰路に着いた。
それが実はとても大したことであったと言うことに俺が気付くのは、次の日のことである。
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