94:名無しNIPPER[saga]
2018/04/21(土) 20:50:00.49 ID:LYLIZ9K70
田中さんが口を開く。
「そっか、分かった。……ありがとうね、わざわざ、学校までサボらせて」
思ったよりずっと彼女はアッサリしていた。
よかった。
俺の気持ちも軽くなる。
しかし、ただ漠然とした申し訳ない気持ちが消えることはない。
「じゃあ私は、これで」
胸の前で小さく手を振って、少しだけ無理のある笑顔を浮かべて、彼女は家の中に戻って行った。
◯
「田中さん、泣いてたね」
「え?」
帰り道、ふと相川が呟いた。
「え、泣く?」
「……気付いてなかったんだ」
その時の視線は、俺を責めるようであった。
「目、赤かった。私たちが来るまで、ずっと泣いてたんだよ」
気付かなかった。
「あと、たぶん今も泣いてる」
相川が言うならきっとそうなのだろう。
なら、案外アッサリしているように見えたのは、俺の感違いだったのかもしれない。
「……」
「どうしたの?」
相川が、不思議そうに俺の目を覗き込む。
115Res/73.82 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20