5: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2018/04/26(木) 20:03:31.65 ID:zmYsrQkn0
近くには背もたれのついていない簡易ベンチがあった。これ幸いと、俺はそれに横になる。
汗が額を伝ってこめかみを流れ、肌から離れていく感覚があった。
何もない中空を人差し指で二度、とんとんと叩く。わざとらしい起動音、「ぶぅん」。そんな空気が震える音とともに、極めて二次元的でデジタルなバーチャルディスプレイが、空間に浮かんだ。
IDとログインパスワードを入力。起動処理。空間をピンチアウトでウィンドウを拡大し、表示された艦娘のリストを眺める。
誰かが艦娘は科学とオカルトの融合だと言っていた。オカルト。霊魂。付喪神。降霊術。いくら眉に唾をつけて聞いたって、彼女たちが海を滑る事実は覆らない。
ただ、少女のきもちこそが、今の俺にとってはオカルトだった。
「なに見てんの」
声がかかった。太陽をちょうど遮っていて、逆光のためにまるで顔が見えない。
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