158:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:58:48.51 ID:A6rjc17z0
 「はぁ、はぁ……!」 
  
  まだ遠くには行っていないはずです。 
  交差点に立ち、私は辺りを見回しました。 
  
159:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:01:29.52 ID:LS54PsoZ0
  お話が好きなのか、優しげに、しかしとてもゆっくりとお婆さんは笑いながら私に話しかけます。 
  見ると、あの子達の姿がどんどん小さくなっていました。 
  
  お婆さんには失礼ですが――こんな時に、次から次へ――! 
  
160:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:03:52.69 ID:LS54PsoZ0
 「ありがとうねえ、本当に助かったわぁ」 
 「後は、ここで並んで、順番がきたら先ほどの引換券を見せれば、大丈夫だと思います」 
  
  何度もお礼を言ってくれるお婆さんに会釈をして、私は一息つくと、再度走り出しました。 
  
161:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:08:12.74 ID:LS54PsoZ0
 「おねえさんありがとう!」 
  
  インフォメーションセンターに行くと、その子の母親とすぐに出会うことができました。 
  ちょうど、迷子の相談をしようと思っていたようです。 
  
162:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:10:15.86 ID:LS54PsoZ0
 「待って!」 
  
  あのプレゼントは、今日必ずほたるちゃんに渡さなくてはいけないものなんです。 
  車で出られたら、もう捕まえる術はありません。 
  
163:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:13:14.69 ID:LS54PsoZ0
  最初の信号で、運悪く引き離されました。 
  
  いえ、運悪くなんてありません。 
  これも“不幸”では、決して――。 
  
164:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:18:19.79 ID:LS54PsoZ0
 『ぬぅぅ〜〜わかった! 担当者のアレは俺が出とくから、ちゃんとバシッと戻ってね! 
  ほたるちゃんすっげぇ待ってるからさ!』 
 「えっ?」 
 『いや、えっじゃないよ! ほたるちゃんがもう……あ、はいすみません今行きます! 
  それじゃあ、俺も行かなきゃ。一旦切るね! 探し物しっかりな!! あぁっ!?うるせぇなネーサンお前空気読」 
165:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:21:05.89 ID:LS54PsoZ0
  今ですっ! 
 「お金は後で払います!」 
 「は、はぁ…」 
  
  ドアを開けると、まともに視界が開けないほど、もの凄い豪雨です。 
166:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:24:08.55 ID:LS54PsoZ0
  ま、まさか、とぼけて――? 
  
  いえ、違う――私は、落ち着いて彼女をもう一度よく見ました。 
  
  
167:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:27:23.87 ID:LS54PsoZ0
 「え、はい……す、すみませんでした……」 
  
  
  大雨の中、呆然と立ち尽くす私を尻目に、車が走り出します。 
  
226Res/193.03 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20