169:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:33:16.91 ID:LS54PsoZ0
  私はバッグを漁り、プロデューサーさん曰く「高ぇタフマン」を取り出しました。 
  
  一息にそれを、グッと飲み干します。 
  
  
170:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:37:20.39 ID:LS54PsoZ0
 「はぁ、はぁ……!」 
  
  大雨と強風の中、息を切らしながらみっともなく走る私を、通りすがる人々が奇異の目で見ます。 
  当然、気にしている場合ではありません。 
  
171:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:40:04.62 ID:LS54PsoZ0
  とはいえ――。 
  
 「はぁ、はぁ……はぁ……!!」 
  
  雨が強すぎて、呼吸をするのも大変です。 
172:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:43:35.13 ID:LS54PsoZ0
  痛みのせいでも、雨のせいでもありません。 
  
  何一つ満足にできない自分の情けなさに、涙で視界が滲んできます。 
  
  
173:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:47:19.32 ID:LS54PsoZ0
  時間にして、どれだけ経っていたのかは分かりません。 
  
  公園に着くと、既に開催しているはずのそこは、大雨が打ち付ける音しか聞こえませんでした。 
  
  
174:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:49:40.52 ID:LS54PsoZ0
  目的の場所にたどり着くと、テントの中は大勢のスタッフさんとアイドル達でいっぱいでした。 
  
 「はぁ、はぁ……」 
  
  びしょ濡れでテントに入り込んできた私にも、周りの人達は見向きもしません。 
175:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:53:16.41 ID:LS54PsoZ0
 「えっ?」 
  
 「び、びしょ濡れだから、これタオルです」 
  
  振り返ると、私に声を掛けてくれたのは、高校生くらいの女の子でした。 
176:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:56:29.16 ID:LS54PsoZ0
 「いやーしぶりんの気配り精神がしかと実を結んだねぇ、やるじゃん、ウリウリ」 
 「放っておかずにちゃんと持ってるなんて、凜ちゃんさすがですっ」 
  
 「たまたま目に入っただけで、別に私は……それより」 
  
177:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:01:06.92 ID:LS54PsoZ0
 「な、何だとぉっ!? しぶりん何してんの!それでもニュージェネの、えーと何だ、ニュージェネか!!」 
 「しょうがないでしょ! まさか同じようなの落とす人が二人もいるなんて思わないし」 
 「あわわわ! み、未央ちゃん凜ちゃん、人前で喧嘩は良くないですよ」 
 「人前でなくても褒められたもんじゃないよね」 
  
178:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:03:25.01 ID:LS54PsoZ0
 「もう一度……」 
 「えっ?」 
  
 「もう一度、その人が何て言って受け取ったか、なるべく正確に教えてもらえますか?」 
  
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