191:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:51:52.24 ID:LS54PsoZ0
 「災い転じて福と成す、と言ったところかな」 
  
  そう言った瞬間、でした。 
  
  
192:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:55:59.94 ID:LS54PsoZ0
 「演出……って」 
  
  私が彼女の意図を掴めずにいると、突如、一つのスポットライトがほたるちゃんを照らし出しました。 
  え――。 
  
193:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:59:08.67 ID:LS54PsoZ0
  そう――つまり、国内でも海外でも、とても縁起の良い幸運の象徴として、古くから伝えられた虫なのです。 
  
  でも、テントウムシ自身はどうでしょうか? 
  
  
194:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 02:00:46.65 ID:LS54PsoZ0
  だから私は、ほたるちゃんの力になりたかった。 
  
  少しでもその身を軽くして、障害を取り払い、ステージまで上らせてあげたかった。 
  
  そして今、彼女はそこに立っています。 
195:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 02:03:40.89 ID:LS54PsoZ0
  ――――♪ 
  
  ――ッ――〜〜♪ 
  
  
196:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 02:05:28.54 ID:LS54PsoZ0
  一番のサビが終わると、観客から大きな声援が上がりました。 
  
  それに応えるように、さらに眩しい笑顔を見せながら、彼女のパフォーマンスはますます洗練されていきます。 
  
  
197:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 02:08:49.63 ID:LS54PsoZ0
 「ウソ……」 
  
  見間違いだと信じたい。 
  実際、この位置からでは、彼女の靴紐なんてほんの点のようにしか見えません。 
  
198:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 02:11:26.22 ID:LS54PsoZ0
 「! あ、危ないっ!!」 
  
  紐が切れたっ! 
  切れ――! 
  
199:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 02:15:19.17 ID:LS54PsoZ0
 「ゴムを……」 
 「大したものだよ。つくづく不幸との付き合い方を、あの子は心得ているのだな」 
  
  腕を組み直し、感心した様子で事務員さんは、鼻でため息をつきました。 
  
200:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 02:18:22.04 ID:LS54PsoZ0
 「私は……」 
  
  こんなものだ、と――いつからかずっと、何かを追い求める気持ちを、抱かないようにしていました。 
  
  反発を恐れたからです。ですが、駄々をこねて親から怒られた訳ではありません。 
201:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 02:24:33.86 ID:LS54PsoZ0
    ――簡単に諦めきれるものじゃないはずです、夢って。 
  
  
  ――〜〜〜ッ〜〜〜〜!!♪ 
  
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