34:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 16:16:27.13 ID:A6rjc17z0
  とても失礼な事を、言ってしまいました。 
  
  ですが――。 
  
 「初めは、冗談だと思いました。会社を潰そうとしている、だなんて…… 
35:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 16:20:59.41 ID:A6rjc17z0
 「えっ?」 
 「見たのだろう? 彼の書類を」 
  
  軽くため息を吐きながら質した事務員さんに、私は黙って首肯します。 
  
36:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 16:23:12.16 ID:A6rjc17z0
 「私のせいでも、ありますし……こんなものだろうな、って、思えますから」 
  
  私だけなら――私の人生なんて、そういうものだから。 
  
  
37:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 16:25:23.56 ID:A6rjc17z0
 「ご存知ですか?」 
 「ん?」 
  
 「どうして、白菊さんがアイドルを目指すのか」 
  
38:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 16:27:05.22 ID:A6rjc17z0
 「やれやれ……人の事より我が事、だな」 
  
  気づくと、事務員さんは私のカップに、コーヒーを注いでくれていました。 
  
 「えっ……ありがとう、ございます」 
39:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 16:28:34.53 ID:A6rjc17z0
  ――――――。 
  
  ――――。 
  
  
40:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 16:29:32.60 ID:A6rjc17z0
  何だか――いつもと、様子が違います。 
  
  黒が広がるのが、妙に遅い気が――。 
  
  
41:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 16:34:57.49 ID:A6rjc17z0
 「かしこまりました、ありがとうございます。それではこれから、はい……いえこちらこそ恐縮です。 
  では、これからお伺いします。その際にサクッと例の書類もお預かり致しますので……はい、お願いします。失礼致します」 
  
  受話器を置いて、プロデューサーさんは慌ただしく席を立ちます。 
  
42:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 16:36:32.67 ID:A6rjc17z0
 「あ、ネーサン、オバちゃん来たらこれでタフマン買っといて。それじゃ、行ってきまーす」 
  
  そう言って、小銭を事務員さんのデスクに置くと、プロデューサーさんは出て行ってしまいました。 
  
  
43:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 16:42:52.25 ID:A6rjc17z0
 「そうか」 
  
  事務員さんは、やはり、深くは語らずにカップを傾けます。 
  
  そして、キーボードを叩き始めると、それ以降何も話さなくなってしまいました。 
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