60:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:35:41.13 ID:A6rjc17z0
  何を言いたいのか、うまく考えがまとまりません。 
  
  ですが――“かも知れない”ばかりを挙げていては、キリが無いのも事実だと思うのです。 
  
 「かも知れないとしても……」 
61:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:51:15.85 ID:A6rjc17z0
 「いえ」 
  ほたるちゃんは、優しく首を振ります。 
  
 「美優さんの気持ち、伝わります。 
  私も……トップアイドルを目指すと言いながら、臆病になりっぱなしでした」 
62:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:52:35.24 ID:A6rjc17z0
 「美優さん……」 
  
  彼女を救おうなどという、おこがましい考えなんてありません。 
  私は、彼女を理解し、見出した魅力を一人でも多くの人に知らしめたい。 
  
63:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:54:15.77 ID:A6rjc17z0
 「あっ」 
  
  
  帰り道、事務所が見えてきた所で、ふとほたるちゃんが立ち止まりました。 
  
64:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:56:29.98 ID:A6rjc17z0
  目当てのアイスが、売り切れているかも知れない。 
  買ったアイスに、ゴミが入っているかも知れない。 
  コンビニ強盗に遭遇するかも知れない。 
  
  ――やはり、色々な可能性を言い出したらキリがありません。 
65:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:58:01.88 ID:A6rjc17z0
  ――――。 
  
  
  少し、時間を置いて、私は開けかけた玄関扉の間をすり抜け、閉めました。 
 「ただいま帰りました」 
66:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:00:20.75 ID:A6rjc17z0
 「あぁ、違ったか。いやいやこちらこそ。 
  へぇー超買い込んだねぇ、楽しかった? いいなー」 
  
  プロデューサーさんは、先ほどの切迫した声が嘘のように、私に気さくに話しかけてくれました。 
  
67:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:03:23.69 ID:A6rjc17z0
  ――少し、穏やかな顔に戻して、どこかプロデューサーさんは他人事のように話しました。 
  
 「先方とは、9月末の契約に向けて、話を進めているところだね」 
  
  私と、目を合わせようとしません。 
68:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:05:04.92 ID:A6rjc17z0
 「残念だけど、それは難しい」 
  
  毅然とした冷たい彼の言い方に、思わず私の体が強張ります。 
  
 「俺達が思っていた以上に、どうやらほたるちゃんの噂は有名らしくてね。 
69:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:09:00.47 ID:A6rjc17z0
 「さっき、難しいって……?」 
 「難しいとできないは違うんだよ、美優さん」 
  
  先ほどとは違い、どこか得意げにプロデューサーさんは鼻を鳴らします。 
  
70:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:11:50.98 ID:A6rjc17z0
 「す、すみませんでした……」 
  ほたるちゃんが頭を下げると、事務員さんは呆れながら手を振りました。 
 「悪いのは強盗だ、キミとは何も関係が無い。 
  たとえキミの不幸が遠因だとしても、キミが謝る話ではないだろう」 
  
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