80:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:39:48.07 ID:A6rjc17z0
 「し、幸せに……不幸な私が、幸せなんて……」 
  
  
  暗く恐ろしい壁が、見る間に空間を浸食していきます。 
  
81:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:43:19.49 ID:A6rjc17z0
  あの日以降、明確な目標を得た私達は、とても精力的に活動を行っていきました。 
  
  
 「ぐわあああぁぁぁっ!!」 
 「トレーナーさーん!!」 
82:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:45:10.38 ID:A6rjc17z0
  それ以外にも、車に水を跳ねられたり、自販機に入れたお札が、上手く認識されずに何度も返されたり。 
  
  色々ありますが、まぁ――こんなものだろう、と思えば、案外普通です。 
  
 「す、すみません、私のせいで……」 
83:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:48:41.01 ID:A6rjc17z0
 「せっかく件の約束を先方と取り付けてきたんだ。それくらいの成功報酬はもらいたいな」 
 「俺だってちゃんと曲の手配したっての! 
  そんなん当然の仕事だろ、このコンコンチキのオッペケペーのスットコドッコイめ!」 
 「はい、三百円」 
 「残念でしたー、今のは擬音じゃありませんー! 悪口ですー!」 
84:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:49:18.34 ID:A6rjc17z0
  
 「えぇ、そうですね! すごく楽しみです、ほたるちゃん」 
  
  
85:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:51:26.31 ID:A6rjc17z0
 「ここ、どうですか?」 
  
  
 「……少し、痛いです」 
  
86:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:54:02.51 ID:A6rjc17z0
  いつかのオーディションで痛めたのは、左の足首でした。 
  
  軽い捻挫でしたので、しばらく安静にしていれば、問題なく治るはずのものです。 
  
  
87:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:56:14.37 ID:A6rjc17z0
  病院を出たその足で、午後のレッスンを行うスタジオへ向かいます。 
  
  
  最寄駅に着くと、私を見つけたほたるちゃんが、手を振ってくれました。 
 「美優さん!」 
88:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:58:37.95 ID:A6rjc17z0
  薄々、勘づいていた事ではありました。 
  
  元々素質があったほたるちゃんがレッスンを続ければ、見る間に実力を身につけていくでしょう。 
  
  事実、ダンスもボーカルも、トレーナーさんが驚くほどの上達ぶりを彼女は見せていました。 
89:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 19:03:15.38 ID:A6rjc17z0
 「あばばばばばばばっ!!」 
 「トレーナーさーん!!」 
  
  機材の調子が悪くなったので、様子を見ようとしたトレーナーさんが突然、叫びました。 
  
90:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 19:04:38.01 ID:A6rjc17z0
 「はぁ、はぁ……」 
  
  ――――。 
  
  疲労のせいもありますが――やっぱり――。 
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