白菊ほたる「もう雨あがりに虹が掛かることもないんでしょうか」
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22:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/01(火) 15:07:23.90 ID:47m1SMXJ0
「私は……」

「……? どうしました、ほたるちゃん」

「いえ、ええと……」


 藍子さんが綺麗というものを、私は綺麗と言えない。
 そんなことがとても悲しくていたたまれなくて、ついはぐらかしてしまいました。
 かわりに、ずっと気になっていたことを言いました。


「藍子さんは、あの月はどうやって光っていると思いますか?」

「太陽の光を反射して……じゃないんですか?」

「もしあの月が、太陽の光を反射しているんだとしたら、太陽はまだ地球の裏側にあるはずです。でも、太陽が昇らなくなってからも、この地球はちゃんと自転しているんです。それなのに、太陽はどこにもありません」

「自転しているって、わかるものなんですか?」

「はい。この間、確認しました。どの星も、東から昇って西に沈んでいました」

「そうなんですか……。じゃあ、やっぱり太陽はもう無くなっちゃったんですね」


 藍子さんは、ちょっとだけ寂しそうに言いました。
 文字通り暗い話をしてしまったので、急いでごめんなさいと言うつもりでした。
 でも、それよりも早く藍子さんはこう続けました。


「だったら、あの月を照らしている星はひとつしかありませんね」




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