25:名無しNIPPER[saga]
2018/05/13(日) 23:25:38.49 ID:wI09scti0
さて、彼女をどうするか。
「危険ではない」というのは確実だが、このまま放置しておくわけにはいかない。
あの少女の話では「頭を潰すと動かなくなる」らしいが。
生前とほとんど変わらない外見の彼女に対してそんなことをするのは気が引ける。
私の手の中でモゾモゾと身悶えする彼女を見ながら考える。
ロープで縛ってしまうか。
それとも、倉庫の隅にある小部屋に閉じ込めるか。
外に追い出すという手もある。
彼女は、私の手の中でウーウーと唸った。
いや、そもそも危険はないのだから放っておいてもいいのではないか。
彼女たちは私たちを傷つけることは出来ない。
私は身をもってそれを体験している。
そう、あの子達は私に噛みついている間は、大人しかった。
乱暴にはされなかったのだ。
誰だってそうだ、自分が好きなものを食べている間は機嫌が良くなって……。
彼女は、私の手の中で大きく口を開けた。
その考えは天啓のように、私の中に降りてきた。
そっか、与えてあげればいいんだ。
彼女たちが望むものを。
彼女たちが欲するものを。
今までだってそうだった。
一人一人の好みに合う味を調べて、アレルギー反応を出さない食べ物を調用意して。
それが私の仕事だったじゃないか。
なら……。
そっと、手を離す。
彼女は、不思議そうな顔でねこちらを見上げている。
そんな彼女の口の前に、私は手を差し出した。
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